東京科学大学と豪ウィーン大学は、ペリ-キサンテノキサンテン(PXX)を最小の構成単位としたナノリボンとネマチック液晶を組み合わせることで、太陽光に含まれる可視領域全体をカバーする高効率な人工光捕集システム(LHS)の構築に成功した(ニュースリリース)。
研究グループはこれまで、PXXをモチーフとしたさまざまな分子の設計と物性評価を行なってきた。その研究の過程で、1942年にPXXの擬似ペリ位にベンゾイル基を導入したケトン誘導体が報告されていたことを見いだした。しかしこの分子については、構造データや詳細な物性評価が行なわれておらず、その特性は長年にわたり未解明だった。
そこで研究グループはこの分子の性質を追究し、その知見に基づいて、PXXのペリ位にベンゾイル誘導体を導入した分子を複数連結した、新規PXXナノリボン分子を4種類(化合物8、1、4、6)開発した。
開発した分子について、光学特性や電子構造の変化を系統的に分析した。PXXの分子数を増やしてπ骨格を拡張すると、PXXナノリボン分子の吸収スペクトルと蛍光スペクトルは系統的に長波長側へシフトした。特に化合物4と化合物6では、近赤外領域の光吸収に加えて、赤外領域での蛍光が確認された。
さらに、各化合物について電気化学測定を行ない、HOMOエネルギー準位を評価した。その結果、π骨格の拡張に伴ってHOMO準位は高くなる傾向があり、化合物6では-5.08 eVを示した。

次に、これらの分子を最大3種類まで組み合わせることで、4通りの人工LHSを構築した。システムのホストには、エネルギー移動効率を高めるため、分子があらかじめ配向したネマチック液晶相を形成する5CB(液晶分子)を用いている。
ネマチック液晶相中では、ドープした色素分子も同じ方向に配向しやすくなるため、光エネルギーの受け渡しが効率的に進行する。その結果、化合物8/1/4および化合物8/1/6からなる三元系システムでは、可視光全域を吸収しつつ、優れた蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)効率とアンテナ効果(AE)が得られた。また2段階のエネルギー移動効率は、70%という高い値になった。

研究グループは、今回の研究は、光エネルギー変換材料の設計に新たな視点を提供し、将来的な応用展開への基盤となることが期待されるとしている。



