櫻井健二郎氏記念賞、浜ホトと古河電工が受賞

著者: オプトロニクス 編集部

光産業技術振興協会は、「第41回櫻井健二郎氏記念賞」の受賞者を発表し、浜松ホトニクスと古河電気工業が受賞した。

櫻井健二郎氏記念賞とは、通商産業省工業技術院電気試験所(現・産業技術総合研究所)でレーザーを中心とした光技術の発展を牽引し、国家プロジェクトを通じて日本の光産業基盤の確立に尽力した櫻井健二郎氏の功績を称え、光産業技術振興協会が1985年に創設した表彰制度。

浜松ホトニクスは、永田幹夫氏、朝稲裕一氏、野沢直樹氏、福智昇央氏のグループが、「高性能液晶空間光変調器の開発と実用化への貢献」で受賞した。

シリコン基板型液晶空間光変調器(LCOS-SLM)は、光の位相を電気的に高速かつ高精度に制御する光学素子であり、光学分野において多岐にわたる応用が可能である。一方、制御する光の高出力化に向けては、耐熱特性の向上が課題となっていた。同グループはLCOS-SLMの耐熱性向上に取り組み、材料や内部構造の最適化を図ることで、高出力レーザー光の安定制御を実現した。これにより、レーザー加工や3Dプリンターへの適用など、幅広い応用を可能にした。

特に、半導体ウエハーの非接触加工を実現するステルスダイシング技術においては、高性能LCOS-SLMの搭載が加工の精度と速度を高め、半導体産業における生産性向上に大きく寄与している。これらの成果が、将来の先端半導体製造技術の高度化に資するものとして評価され、今回の受賞に至った。

古河電気工業は、吉田順自氏、若菜昌布氏、北條直也氏、伊藤宏和氏のグループが、「世界最高クラス出力・最小電力駆動超広帯域ラマン増幅器用励起光源の開発及び実用化」で受賞した。

AIや5G技術などの発展に伴い、データセンタを含む通信網の大容量化・高速化・長距離化が喫緊の課題となっている。特に基幹網の長距離化やデータセンタ間接続には光増幅技術が不可欠であり、光ファイバ中の誘導ラマン散乱を用いたラマン増幅技術は、EDFAとともに重要な役割を果たしている。

同グループは、多層InGaAsP/InPからなる非対称導波構造を導入した高出力・高効率レーザーを開発し、ファイバラマン増幅用励起半導体レーザーを世界に先駆けて実用化した。これにより、ラマン増幅の利得を大幅に向上させることに成功した。また、世界市場におけるシェアは30%を超えるという。

このレーザーは、S帯からC帯、さらにU帯まで広い波長帯で利用可能であり、光産業ならびに通信インフラの発展への貢献は極めて大きいとして、受賞に至った。

なお、2月24日にリーガロイヤルホテル東京で開催される「光産業技術シンポジウム」において、今回の表彰式が執り行なわれる予定。

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