せいめい望遠鏡・国立天文台すばる望遠鏡などによる超新星観測を通じて、ブラックホール形成の際に超新星爆発が起こり得ること、さらにそのような超新星が特別な性質をもつ「Ic-CSM型」超新星になることを、京都大学の研究グループが明らかにした(ニュースリリース)。
ブラックホール形成時に超新星爆発が付随する例を確認できれば、ブラックホール誕生の瞬間を直接とらえたことになり、どのような恒星がブラックホールになるのか、形成過程で何が起こるのかといった恒星進化に関する重要な知見が得られる。これまで、ブラックホール形成時にガンマ線バーストなどの高エネルギー現象が起こる可能性が議論されてきたが、これらは遠方宇宙で発生するため、可視光による詳細な観測が困難であった。
ブラックホールを形成する大質量星は、進化の過程で強い恒星風により外層を失い、炭素・酸素からなる中心部が露出したウォルフ・ライエ星になると考えられている。炭素・酸素星を起源とする超新星としてIc型超新星が知られているが、通常のIc型超新星は比較的軽い恒星の爆発であり、中性子星が残されると考えられてきた。
研究グループは、Ic型超新星の中でも特異な振る舞いを示す「Ic-CSM型」超新星に注目してきた。Ic-CSM型超新星は、初期には通常のIc型と似た振る舞いを示すが、時間とともに異なる特徴を示す。研究グループは2022年以降、複数のIc-CSM型超新星を発見・報告し、この分類を確立してきた。Ic-CSM型超新星は、大量の炭素・酸素からなる星周物質を伴うと考えられており、大質量ウォルフ・ライエ星を起源とする可能性が指摘されてきた。
今回、研究グループは近傍宇宙で発生した超新星SN2022esaをせいめい望遠鏡で分光観測し、Ic型超新星であることを特定した。しかしSN2022esaは通常よりも非常に明るく、長期間輝く特異な性質を示したため、爆発後約500日後にすばる望遠鏡で追加観測を行った。その結果、Ic-CSM型超新星に特有のスペクトル変化が確認され、SN2022esaがIc-CSM型超新星であることが明らかとなった。
さらに解析の過程で、SN2022esaの明るさが約30日の周期で変動することが発見された。詳細な周期解析、分光観測、赤外線観測および電波観測の結果を総合し、爆発前の星は大質量ウォルフ・ライエ星であり、別のウォルフ・ライエ星またはブラックホールと楕円軌道の連星をなしていたと結論づけた。連星は約1年周期で近接し、そのたびに外層を放出してリング状の星周物質を形成し、超新星爆発後、その衝撃波が周期的に衝突することで明るさの変動が生じたと考えられる。
本研究により、少なくとも一部のIc-CSM型超新星がブラックホール形成に伴う爆発であることが示された。ブラックホール誕生を光で観測できる可能性を示す重要な成果であり、将来の連星ブラックホール形成や重力波源の起源解明にもつながると期待される。

