東北大学の研究グループは、露光期間中にフォトダイオード(PD)から溢れた光電荷を蓄積する横型オーバーフロー蓄積容量(LOFIC)を、画素毎に2段設けてダイナミックレンジを拡大するとともに、光量に応じて適切な信号を読み出す光量適応信号選択機能を実現した(ニュースリリース)。

近年、車載やマシンビジョンなどのセンシング用途では明暗差のある環境でも白飛び、黒潰れせずに撮像できる広いダイナミックレンジのCMOSイメージセンサーが求められている。特に単一露光・線形応答により、モーションアーティファクトを抑えつつ、後段の処理を簡略化できる構成は多くのアプリケーションで高い有用性を持つ。
LOFIC方式のCMOSイメージセンサーは、高いSNRと広いダイナミックレンジを単一露光・単一 PD・線形応答で実現することが可能であり、複数段LOFICによる広ダイナミックレンジ化が報告されている。一方で、1フレーム内に複数信号を出力する必要があり、読み出し信号数の増加によりデータレートや消費電力が増加するという課題があった。
研究グループは、CMOSイメージセンサーにおいてPDのオーバーフロー信号を用いて、光量に応じて適切な信号を読み出す光量適応信号選択機能を実現した。さらにイメージセンサーチップに5.6μmピッチ画素単位の3次元積層技術を適用し、積層チップに高容量密度のシリコントレンチ容量を搭載することで、276.8ke-/μm2という単位面積当たりの飽和電子数を達成した。
これによりイメージセンサーの重要な性能指標である広ダイナミックレンジ・高SNR性能を損なわないままに、信号判定による読み出し信号数の削減と3次元積層容量による画素サイズ縮小を達成し、光量適応信号選択機能を有すダイナミックレンジ120dB・最高SNR67.5dB の 2 段 LOFIC・3次元積層型CMOSイメージセンサーを開発した。
開発センサの光電変換特性および1bitの判定信号を用い光量適応信号選択の結果、光量に応じた信号選択機能を実証した。今回の研究はCMOSイメージセンサーにおける、ダイナミックレンジと読みだし信号数に存在するトレードオフを解消し、データレート低減や低消費電力化に有効な手段であることを実証した。

研究グループは、この成果は CMOS イメージセンサーの高性能化および、小型化や低消費電力化へ寄与することが期待されるとしている。