千葉大ら、光の強さでナノ材料の形を自在に制御

千葉大学、東京科学大学、生命創成探究センター、パリ=サクレー大学、理化学研究所、名古屋大学は、光に反応して形や色が変化する分子「フォトクロミック分子」が自己集合して作られるシート状の構造「二次元ナノシート」に強度を変えて光を照射すると、細いひも状の一次元ナノファイバーや、積み重なった厚い塊である三次元ナノクリスタルなど、全く異なる構造に変化することを発見した(ニュースリリース)。

これまで、構成分子にフォトクロミック分子と呼ばれる光で形や色が変化する分子骨格を組み込むことで、平衡・非平衡の二状態間を切り替える研究は数多く報告されてきた。しかし、その強度に注目し光の強弱によって全く異なる応答を引き出そうとした研究はほとんど行なわれていなかった。

研究グループは、フォトクロミック分子の構造変化(光異性化)と、分子集合体の構造多様性(超分子多形)を組み合わせることで、照射する光の強度によって異なる次元性を持つ3種類の集合構造を作り分けることに成功した。

これまで、多彩な超分子多形を示す自己集合性分子を開発してきた。今回、新たに紫外光に応答して折れ曲がるアゾベンゼンフォトクロミック分子を組み込んだ自己集合性分子を設計・合成した。

この分子を有機溶媒に溶かすと、エネルギー的に最も安定な二次元ナノシートを形成した。このナノシートに強い紫外光を照射すると、自己集合能力が低いシス体が光異性化により約20%生成し、一度バラバラの分子へと分解した後に再び集合することで、一次元ナノファイバーへと変化した。

一方、弱い紫外光を照射すると、シス体の割合が約7%に抑えられることでナノシートの分解と成長が拮抗し、三次元ナノクリスタルへと変化した。

光による構造変化のメカニズムを詳しく調べるために、ナノレベルの構造変化を高速で捉えることができる高速AFMを利用した。強い紫外光を照射すると、二次元ナノシート→ 一次元ナノファイバーへの変化が、ナノシートの特定の辺から選択的に進行する様子が観察された。

さらに分子の単結晶構造解析にも成功し、結晶構造とナノシートを比較することで、アゾベンゼン部位が露出していて光異性化の影響を強く受けやすい辺から分子が構造変化するというメカニズムを明らかにした。

一方、弱い紫外光照射では、二次元ナノシート→三次元ナノクリスタルへの変化が起こるナノシートと、消滅するナノシートの両方が観察され、光誘起オストワルド熟成が進行することが明らかになった。

研究グループは、この研究成果は、次世代機能性材料の開発に繋がることが期待されるとしている。

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