東大ら,ナノシート酸化物半導体トランジスタを開発

東京大学と奈良先端科学技術大学院大学は,原子層堆積法を用いて結晶化した酸化物半導体を形成する技術を開発し,トランジスタの高性能化と高信頼性化を実現した(ニュースリリース)。

データセンターやIoTエッジデバイスをインフラとしてビッグデータを利活用した社会サービスが日々創造されている。そのための基盤となるコンピューティング技術の中核をなす半導体は,大規模集積化が進められており,現在,三次元集積化により,さらなる高集積化と高機能化が進もうとしている。

従来のシリコン基板上に形成される半導体集積回路の配線層にトランジスタを形成することで,高機能回路を三次元積層して高集積化することができる。そのためには低温で形成できる半導体材料が必要であり,また,その材料を用いたトランジスタは高集積化のために微細化しても高性能・高信頼性を有する必要がある。

酸化物半導体は,低温で形成可能で,高性能であることから,現在,半導体の集積回路への応用の期待が高まっている。酸化物半導体を集積回路のトランジスタとして用いるには,トランジスタの微細化が可能であることが必須だが,従来のアモルファス酸化物半導体では微細化に必要なゲートオールアラウンド構造の実現が困難だった。

研究グループは,結晶化酸化物半導体の形成技術を開発した。具体的には原子層堆積法で酸化物半導体InGaOx(IGO)のナノ薄膜を成膜し,熱処理を行なうことで平坦かつ均一に結晶化したIGOの形成技術を開発し,トランジスタの高性能化・高信頼性化が可能となった。

次に同技術を用いてIGOのナノ薄膜と犠牲層の間に高いエッチング選択比を実現し,ゲートオールアラウンド型酸化物半導体トランジスタのプロセスを開発し試作・評価した。その結果,オン電流326μA/μm(電源電圧1.2V),トランスコンダクタンス689μS/μmを有し,ノーマリーオフ動作する,世界最高性能のゲートオールアラウンド型酸化物半導体トランジスタを実現した。

また,バイアスストレス閾値電圧シフトも単一ゲートトランジスタに対して大幅に改善し,高信頼性も実現した。

研究グループは,この技術により,半導体のさらなる高集積化とそれによる高機能化が可能になり,ビッグデータを利活用する社会サービスの展開が期待されるとしている。

キーワード:

関連記事

  • ニコン、新型アライメントステーションを発表 半導体露光工程を高度化

    ニコンは、半導体製造の露光プロセスにおいて高い精度と生産性を実現する新型アライメントステーション「Litho Booster 1000」を2027年1月に発売する(ニュースリリース)。同製品は、従来機種と比較して計測精度…

    2026.07.30
  • 半導体市場1兆ドル到達は4年前倒し SEAJが製造装置需要を上方修正

    日本半導体製造装置協会(SEAJ)は、2026年度から2028年度までの半導体・FPD製造装置の需要予測を発表した(ニュースリリース)。半導体製造装置の日本製装置販売高は、AIサーバー向け先端ロジックへの旺盛な投資や、広…

    2026.07.06
  • 信州大、光を自在に操るハイブリッドナノシートを開発

    信州大学など研究グループは、光を自在に操るハイブリッドナノシートを合成するための普遍的なモジュール型戦略を確立し、ナノシートの自己組織化によって光の吸収・反射・発光という三つの発色原理を統合した多機能フォトニック結晶を実…

    2026.06.03
  • ギガフォトン,九州事務所にトレーニング用レーザー導入 半導体リソグラフィ用光源のサポート体制を強化

    ギガフォトンは、2026年6月に九州事務所内へトレーニング用レーザーを導入し、顧客サポート体制を強化すると発表した(ニュースリリース)。 近年、AI需要の拡大を背景に半導体産業の成長が続いており、今後も半導体関連投資の増…

    2026.05.29
  • 名大、透明ナノシートを用いた高感度・超小型RGBフォトディテクタを開発

    名古屋大学は、ガリウム(Ga)をドープした酸化亜鉛(ZnO)ベースの透明導電体ナノシートを開発し、高い透明性と感度、さらに耐熱性を兼ね備えた高性能フォトディテクタを構築した(ニュースリリース)。同大学未来材料・システム研…

    2026.05.27

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア