産業技術総合研究所(産総研),理化学研究所,日本電気,富士通は,大規模量子コンピューターシステムに向けた俯瞰図・ロードマップの策定の第一報として,超伝導方式のサプライチェーンに関わる技術報告書を公開した(ニュースリリース)。
量子コンピューターの実用化および大規模化のためには,周辺デバイス・部品・材料などの高度化とともに,これらのサプライチェーンの構築が不可欠。しかし,量子コンピューターシステムの技術仕様が明確ではなく,多くの企業,特に中小企業にとっては参入のハードルが高い状況となっている。
こうした課題を踏まえ,量子コンピューターシステムの技術仕様の明確化に加え,システム全体や必要なデバイス・部品・材料などに関する技術報告書を作成。中小企業を含む裾野の広い産業界の積極的な参入を促進させ,安定的かつ強靭なサプライチェーンの構築を目指すという。
超伝導方式の量子コンピューターを構成する重要な要素技術として,信号増幅器,ケーブル,コネクター,高周波コンポーネント,希釈冷凍機,制御システムなどがある。約2年前に実施した調査では,超伝導量子コンピューターを構成する多くの部品・機器は日本企業で開発されたものであり,ほぼ日本と米国製部品で超伝導方式の量子コンピューターを完成できる状況だった。
また,それらの部品・製品のいくつかは技術的な参入障壁が高く,後発の企業が後追いで開発することは難しい。これらは,例えば通信産業など,非量子産業で発展した部品・装置を応用・転用したものも多く,国および研究機関の支援によりこれらの部品・装置の小型化・高密度化・省エネルギー化を図ることは,転用元となった非量子産業分野における技術力を高めて競争力を強化することにも繋がる。
そこで,超伝導方式の量子コンピューターの要素技術部品について,大規模集積化に向けた課題を抽出し,その課題を解決するために,研究機関,各種学会の主催する国内・国際会議などから量子コンピューターに関わる情報収集を行ない,1000量子ビット級あるいはそれを超える量子コンピューターを実現するために必要な研究要素の抽出と,研究を遂行するために必要な環境など,量子コンピューターの大規模化に向けた開発要素の技術報告書を作成し,公開した。
超伝導方式以外の量子コンピューターの技術方式についても,技術報告書を作成していくという。各方式に共通するデバイス・部品・材料や,非量子産業製品の活用の可能性も検討し,これらを技術報告書に反映して一定程度の市場性・経済性があることを示し,より多くの企業の参入を促進するための取り組みも行なうとしている。




