阪大ら,高効率な室温りん光を示す分子液体を開発

大阪大学と九州大学は,室温で液体状態の有機分子から世界最高効率のりん光を得ることに成功した(ニュースリリース)。

りん光は有機ELやバイオイメージングに有用な発光機能の1つで,古くから研究されてきた。これまでは,室温で高効率なりん光を得るにはイリジウムや白金などを使うことが重要であり,それらレアメタルを含まない有機分子では効率の良いりん光は得られないと考えられていた。

近年になって,有機分子でも,結晶状態であれば高効率なりん光を示しうることが認識され始めたが,自由な形態をとることができる液体状態の有機分子では,高効率なりん光を得ることは依然として困難だった。

研究グループはこれまでに,有機分子のりん光は極めて遅い現象であり,これが効率低下の要因であると考え,従来より一桁以上高速なりん光を示す有機分子,チエニルジケトンを開発した。この分子自体は固体だったが,これを溶媒に溶かした溶液状態とすることで,世界最高効率の室温りん光を示すことができた。

研究グループでは,高速りん光を示すチエニルジケトン骨格に,2つのジメチルオクチルシリル基を導入することで,室温で実質的に安定な分子液体を合成することに成功した。

さらに同分子液体は,室温・空気中で5.6%,酸素を除いたアルゴン雰囲気下では25.6%という高効率な室温りん光を示した。これは従来の分子液体の室温りん光よりはるかに高効率。詳細な評価の結果,そのりん光速度定数は6,900s–1と,元の分子同様の高速りん光であることがわかった。

またこの分子は,非常に高濃度である液体状態でも,希薄な溶液状態とほとんど同じ発光スペクトルを与えた。その結果,吸収スペクトルと発光スペクトルのピークトップの差は,250nmを超える大きな値が得られた。

研究グループは,これにより,高速りん光に基づく材料開発の有効性が示され,変形に強い発光材料が必要なフレキシブルディスプレイなどへの応用が期待されるとしている。

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