浜松ホトニクスとEX-Fusionは,レーザーフュージョン研究において,大出力のパルスレーザーを連続して模擬燃料ターゲットに照射する重要な技術の実証試験を行なった(ニュースリリース)。
現在,最も研究が進んでいるレーザーフュージョン研究は,重水素と三重水素を入れた燃料ターゲットに大出力のレーザーを照射し原子核同士が融合する反応であり,この際に発生する莫大なエネルギーを利用した発電への期待が高まっている。
レーザーフュージョン発電システムでは,燃料ターゲットが供給装置から射出され,反応の中心に到達した瞬間に,複数の大出力レーザーが同時に照射される。発電には100本以上のレーザーが必要になると考えられている。
米ローレンス・リバモア国立研究所で,レーザーフュージョンによる点火(自己持続的な核融合反応)が世界で初めて実証されたのをきっかけに,欧米を中心にレーザーフュージョン発電の研究開発が急速に進んでいる。しかし,そこはレーザーフュージョンの物理的な実証を目的とした施設であり,レーザー照射は数時間に1回,燃料ターゲットの設置もその都度で行なわれているため,発電には対応していない。
レーザーフュージョン発電を行なうには,燃料ターゲットを1秒間に10回の頻度で自動的に供給し,それに合わせて大出力レーザーを正確に照射する,高度な連続動作が必要だという。
両社はレーザーフュージョン発電の実現に向け,実験チャンバーを使用し大出力レーザーの連続照射システムを構築。現在の技術レベルを確認するとともに,今後の開発に必要な課題を明らかにするため,共同実験を行なった。
直径1mmの金属製ターゲットを1秒間に10回の頻度で真空チャンバー内に投入し,ターゲットの位置を予測してレーザーを正確に照射した。1時間にわたる連続照射の結果,レーザーの照射位置とターゲットの位置の誤差は約500μmに抑えられ,50%以上の確率でターゲットへの照射に成功した。
さらにターゲットへ照射したレーザーショットの内,10%以上の照射でレーザー光がターゲットからレーザー装置側に戻る大出力レーザー特有の重要なデータも得られた。このような規模と条件で長時間にわたり統計的なデータを取得した実験は,世界初の試みだという。
研究グループは,今回の実証実験で得られた成果や知見は,今後の国家プロジェクトに生かされ,レーザーフュージョン発電の実現に向けた大きな一歩となるとしている。
