ペロブスカイトPV市場,2040年は3兆9,480億円へ

富士経済は,本格的な事業化に向けた取り組みがグローバルで進み,部品材料から最終製品に至るまで日本メーカーの積極的な展開も目立つペロブスカイト太陽電池の世界市場を調査し,その結果を「2025年版 新型・次世代太陽電池の開発動向と市場の将来展望」にまとめた(ニュースリリース)。

この調査では,本格的な実用化に向けて注目のペロブスカイト太陽電池の世界市場,また,日本市場について,単接合型/タンデム型,ガラス基板型/フィルム基板型などの視点を踏まえて現状を調査し,将来を予想した。また,参入企業18社の開発状況・計画・今後の展開などをまとめた。

ペロブスカイト太陽電池の世界市場では,ペロブスカイトの単接合型と,ペロブスカイトと結晶シリコンのタンデム型(多接合型)を対象とした。単接合型はすでに商用化されており,搭載面積の小さい電子棚札や組み込み電源での採用を中心に,2024年の市場は前年比61.3%増の500億円となった。一方,タンデム型は試験的生産やサンプル出荷に留まっているため,2024年の市場は前年比80.0%増の90億円となった。

本格的な量産開始は単接合型が先行し,2020年代後半からタンデム型の量産も進むとみられる。既存太陽電池からの代替が進み,2020年代後半から市場は急拡大すると予想した。また,更なる変換効率の向上が可能なタンデム型の開発が進み,2030年前後から発電事業用途などでの導入増が期待され,市場拡大を後押しするとみられるという。

現状,単接合型の主な用途は,Saule Technologies(ポーランド)が展開する電子棚札や,欧米メーカーを中心としたIoTデバイスの組み込み型電源などが中心。また,中国メーカーはBAPV(建物据付型太陽電池)の実証・サンプル出荷を増やしている。将来的には中国メーカーを中心にギガワット級の本格的な量産開始が予定されており,2040年には5割以上がBAPV用途になると予想した。

タンデム型は,現状は試験的な生産や実証的な設置,サンプル出荷が中心で,すべてBAPV用途だという。タンデム型を前提とした大手メーカーが参入しており,LONGi Green Energy Technology(中国)やHanwha Q CELLS(韓国)などの結晶シリコン太陽電池の大手メーカーの量産計画もあるため,長期的な市場拡大が予想され,2040年にはペロブスカイト太陽電池の約6割をタンデム型が占めるとみられるという。

採用基板別にみると,現状はガラス基板が中心で9割弱を占める。フィルム基板は実証実験やサンプル出荷にとどまっている。中期的な大規模量産計画のある中国メーカーは,ガラス基板を中心に展開を進めており,足元ではBAPV用途を中心に商用化が進んでいる。

中国では地上や屋根設置型の発電事業向けが多いことから,中国企業はガラス基板タンデム型の開発を進めており,グローバルでもガラス基板の採用が増えるとみる。一方,フィルム基板で商用化を開始しているメーカーはまだ少なく,欧米メーカーが中心であるが,日本メーカーでは積水化学工業/積水ソーラーフィルムが商用化を開始する予定だとしている。

2040年時点ではガラス基板型が中心となり,発電事業向けの活用が増加するとみる。フィルム基板型も大きく伸びて3割強を占めると予測した。軽量・フレキシブルという特性を生かしたBIPV(建材一体型太陽電池)用途を中心に様々な用途での展開が期待されるという。

ペロブスカイト太陽電池の日本市場の現状は,試験的な少量生産やサンプル出荷の段階である。2025年度に積水化学工業/積水ソーラーフィルムによる商用化が開始予定で,他の企業も2027年度頃からの商用化を目指している。

BIPV/BAPVでの採用増加,タンデム型の開発・生産が期待されており,「第7次エネルギー基本計画」では,ペロブスカイト太陽電池の国産化や,サプライチェーンが一体となって導入展開を進めていく方針が掲げられ,量産技術の開発や生産体制の整備が求められている。

フィルム基板型は,ガラス基板と比較して,技術的には耐久性,生産的には大面積化や製造コストの観点で課題がある。材料や製造プロセスに改善余地は多いが,応用製品の重量制限が少ないことや,印刷技術を応用したロールツーロール方式での量産が可能なことなどから,将来的な伸びを予想した。

ガラス基板型は,結晶シリコン太陽電池の生産ラインが活用できることや,応用製品の用途が多岐にわたること,また,耐久性や歩留まりといった生産技術の観点で難易度が低いため,将来的に日本市場の主力になるとみられるという。

2025年度にはガラス基板に取り組む中国発のスタートアップ企業が進出している。また,結晶シリコン太陽電池の変換効率向上は頭打ちになっているため,高付加価値化製品としてタンデム型の開発インセンティブは高まっており,大学発ベンチャーやスタートアップ企業,海外大手メーカーの展開も予想される。2030年度以降にはガラス基板タンデム型の本格出荷が想定され,市場拡大が期待されるとしている。

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