非破壊検査市場,老朽化インフラによって堅調に推移

矢野経済研究所は,非破壊検査市場を調査し,装置・機器及び受託業務の世界及び日本市場の動向,参入企業動向,将来展望を明らかにした(ニュースリリース)。

それによると,2024年度の非破壊検査世界市場規模(装置・機器及び受託業務,事業者売上高ベース)は3兆6,966億円と推計した。そのうち,装置・機器世界市場は1兆2,044億円,受託業務世界市場は2兆4,922億円。2025年度の非破壊検査世界市場規模は前年度比107.2%の3兆9,621億円の見込みだという。

​また,2024年度の非破壊検査日本市場規模(同,世界市場規模の内数)は2,376億円と推計した。そのうち,装置・機器日本市場は1,057億円,受託業務日本市場は1,319億円。2025年度の非破壊検査日本市場規模は前年度比103.3%の2,454億円の見込みだとしている。

非破壊検査は,一つの検査手法が最適である場合もあるが,多くの場合,2種類やそれ以上の複数検査を組み合わせて検査対象の状態を把握し,総合的に評価,判断していくことになる。一例では,外部の表面や外観の状態と内部の状態を連携させる検査,同一箇所の経年状態を確認するための検査や,スクリーニング(予備検査)と本検査というように同一個所における重点箇所を特定するような検査もある。

非破壊検査は,検査対象物を適切に維持管理することが目的であるため,各検査手法の特徴やその適合性を考慮し,最適な方法で実施,運用していくことが重要となっている。

​世界における非破壊検査は国や地域の状況によって大きく需給状況が異なっている。社会インフラ施設や設備の構築途上にある新興国では設置年数が短い場合や更新頻度が高いため,非破壊検査自体の必要性が低い場合がある。

一方,日本国内をはじめ,社会インフラが整備されている先進諸国では非破壊検査は必要不可欠であり,市場は成熟期にある。非破壊検査需要は,基本的には当該国内や経済領域内であることから,それらの経済規模に連関して推移することとなる。

日本国内における非破壊検査需要は横ばいから成長基調で推移しており,なかでも再稼働が増える原子力関連施設や予防保全を重視する土木・橋梁などを対象とした分野が成長していくという。

日本国内において,放射線透過試験(RT)に関連したX線撮影の受託業務サービスが活発になってきている。RT装置機器は初期投資コスト,ならびに維持・運用コストの負担が重く,概してユーザー企業が自社で所有し,活用していくことが難しいとされる。

そのため,ユーザー企業にとってX線撮影の受託業務サービスは有用である。撮影対象は工業製品に関わらず,食品など多岐に渡っている。X線撮影の画像から様々なものの内部構造が可視化されることで,問題や課題に対する原因追及や品質改善などにつなげていくことができる。

こうしたX線撮影の受託業務サービスの裾野が徐々に広がることで,その重要性が認識されるものと考える。将来的にはユーザー企業においてRT装置機器の購入検討につながり,同機器を所有する企業が増えることが期待されるという。

将来展望については,2032年度の非破壊検査世界市場規模(装置・機器及び受託業務,事業者売上高ベース)は6兆1,766億円,このうち,装置・機器世界市場は2兆2,656億円,受託業務世界市場は3兆9,110億円になると予測した。

2032年度の非破壊検査日本市場規模(同,世界市場規模の内数)は2,945億円,このうち,装置・機器日本市場は1,584億円,受託業務日本市場は1,361億円になると予測した。

今後,非破壊検査装置・機器におけるハードウエアはAIの活用やIoTの導入,デジタル化の流れを受けて進展するなかで,検査原理の新規開発などは中長期的な観点での取り組みが必要となる。一方,ソフトウエアの領域に関しては,ハードウエアと比較すると,検査データや画像の分析・解析能力の進化は顕著であり,AIなどを活用した非破壊検査システムが目立ってきている。

また,非破壊検査受託業務については,社会インフラ施設や設備等への非破壊検査自体が各国の法令等に準拠し実施されていることから,安定的な検査需要がある。

こうした需要はある程度,産業構造の変化を受けるものとみられるが,現時点では各産業分野における大きな変動要因はみられないことから,今後も先進諸国を中心に老朽化した社会インフラ施設や設備等における安定した非破壊検査需要に支えられ,市場全体は堅調に推移するとしている。

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