5月25日,玉川学園(東京都町田市)は大型クローラークレーンと発光体を用いたアート演出「浮遊離脱する光跡」を報道陣に公開した。
これは,玉川大学特別研究員の田中敬一氏が中心となって企画し,玉川大学・玉川学園の敷地内に建築中のスポーツ施設「Sports Center SANITAS」の建設を請け負う,西松建設の協力を得て行なったもの。
発光体は高さ3m,幅5mの鉄骨製のフレームにウォールウォッシャーと呼ばれる,演劇などの演出に使われるスティック状LED照明を33本と,ストロボ発光する球体を9個取り付けたもので,総重量は約200kgとなっている。1本のウォールウォッシャーにはRGBのLEDが合計240個取り付けてあり,原理上は16万5000色を表示可能だというう。
フレームは6角形の形状を3つ組み合わせたものを底面とした錐体状をしている。これは6角形が玉川学園が研究するミツバチの巣をイメージしているのと同時に,この形状が強固なモノコック構造であることから,自然や生命に学ぶバイオミミクリーによるアプローチでもあるとしている。
実演ではこの発光体を大型クローラークレーン(履帯を備えた移動式クレーン,メインブーム(主柱)高さ42.5m,ジブ(アーム)長さ35.1m)に吊り下げ,今回のために開発したという制御装置で地上より様々なパターンで発光させながら,上げ下ろしや旋回といった動きを,夕暮れ~夜間の空をバックに行なった。
これを長時間露光で撮影すると,カラフルな光の帯が写るとともに,フラッシュが発光したタイミングで構造が浮き上がり,空中に無数の6角形が現れる。田中氏はこれにより,建築と光を結び付けた表現を狙ったという。
建築現場での作品のため,この瞬間しか作品として存在できないインスタレーションだが,この「一期一会」も表現の一部だとする。なお,このプロジェクトにはLED表示の事前確認や撮影など,学生も参加して行なわれた。