人とくるまのテクノロジー展2025が5月21日から23日の3日間,パシフィコ横浜で開催された。
自動車産業を支える技術や製品が一堂に会する同展示会はパシフィコ横浜(アネックスホールを含む)を全館使用するという大規模なもので,最新,最先端の自動車関連技術を把握できるイベントとなっている。
今回,編集部では自動車産業におけるフォトニクス分野に焦点を当て,取材を行なった。材料から製造分野,検査・計測,通信など光・レーザー技術は自動車産業分野にも密接な関わりを持つ。
同展示会ではいくつかの出展製品・技術を取材して回ったが,中でも注目したのが,自動車のドアウインドウやボティにレーザープロジェクターを用いて映像情報を表示させるという応用だ。
これを提案していたのは,HUD(ヘッドアップディスプレー)などを手掛ける日本精機と米国ティア1のコンチネンタル・オートモーティブだ。
このうち,日本精機ではサイドミラーに短焦点レーザープロジェクターを搭載し,ドアウインドウやボディに映像投影するデモンストレーションを行なっていた。一方のコンチネンタル・オートモーティブは車内からプロジェクターをドアウインドウに照射するデモンストレーションを行なっていた。
ドアをスクリーンに見立てるというものだが,ウインドウに調光機能を持たせており,電流を流すことで透明であったガラスが摺りガラスのように変化する。これにより,鮮明な映像が表示できるものとなっている。
この調光ウインドウは一部の航空機の窓ガラスに採用されており,遮光機能として応用されている。こうした応用が自動車にも展開されてようとしている。将来の自動運転車では外部に対して視覚的な情報表示が効果的とされている。
サイネージの役割として様々な情報表示が考えられているが,路面への情報表示とともにこうした車体などへの活用も興味深い。 しかし,課題もある。プロジェクターの小型化と低コスト化が挙げられるが,今後の実用化の行方に注目したい。【取材・写真】梅村舞香,望月あゆ子,三島滋弘
【会場のデモの様子(動画)】