四国化工機は,日亜化学工業が製造する深紫外線LED(UV-C LED)を使用したUV-C LED殺菌装置の開発について,装置化と検証が完了し,このLED殺菌装置を搭載した充填機を発売する(ニュースリリース)。
四国化工機では,デザートカップやボトルなどの充填機に搭載するカップやフィルム,キャップ用の殺菌装置として水銀ランプを使用しているが,水銀ランプは,今後規制の強化の可能性や,作業性における課題を抱えているため,LED殺菌装置の開発に取り組んだ。
四国化工機は,デザートカップやボトルなどの充填機に搭載する殺菌装置の性能(スペック)について,枯草菌を99.9%以上殺菌することをコンセプトとしているが,水銀ランプに比べ,波長280nmのLED殺菌装置は少ないエネルギーで枯草菌を殺菌することができるという。
また,充填する内容物の種類や設定する賞味期間の長さによっては,枯草菌の殺菌に加え,クロコウジカビの殺菌も必要になることがあるという。枯草菌と同様に,クロコウジカビについても99.9%以上殺菌するにあたっても,水銀ランプに比べ,LED殺菌装置は少ないエネルギーで殺菌することができるとする。
水銀ランプは起動時,安定するまでに10分程度の待機時間が必要だが,LED殺菌装置は装置の電源を入れるとすぐに出力が安定し,殺菌が可能となることから,起動時の時間的ロスが無くなる。
さらに,水銀ランプは,カップ殺菌用ランプとフィルム殺菌用ランプとで灯数や仕様が異なっているため装置を共通運用できない点に加え,紫外線の拡散による周辺部品の劣化やオペレーターへの悪影響も課題となっていた。
一方,LED殺菌装置では,カップ殺菌用基板とフィルム殺菌用基板を統一している。また,LEDには直進性があるため,装置外への紫外線の拡散が少なくなり,周辺部品への影響やオペレーターの負荷を軽減し,作業環境を大幅に改善することができるという。
また,水銀ランプは劣化して割れてしまう場合があり,充填機を安全な状態で再度運転できるようになるまでに時間を要する。一方,LED殺菌装置は割れることもなく,水銀を使用していないため,安全に使用できる。寿命も水銀ランプの2,000時間程度に対してUV-C LEDの寿命は約10,000時間と約5倍となる。
四国化工機は,国内市場で約70%,海外市場で約20%以上のシェアを有する屋根型紙容器成形充填機についても,殺菌装置をLED化する検討を行っなており,日亜化学工業および装置化を行なった武藤工業と連携して更なる技術開発を進めるとしている。