日亜化学工業は,産業技術総合研究所と紫外放射照度計校正の標準光源となる標準LEDを開発し,販売を開始した(ニュースリリース)。
殺菌,探傷,樹脂硬化などに使用するUV光源は,従来は水銀ランプが使用されていたが,昨今はUV-LED技術が進歩したことと,環境問題,健康問題に関する意識の高まりにより,水銀ランプからUV-LEDへの置き換えが進んでいる。
UV光源を検査するための紫外放射照度計の校正用の標準光源には,長らく水銀ランプが使用されてきた。しかし,検査対象光源がUV-LEDに置き変わりつつある現在でも,標準光源が従来の水銀ランプのままであるため,標準光源(水銀ランプ)と被検査光源(UV-LED)のスペクトルや放射照度値が一致せず,その結果,水銀ランプを標準光源として校正した紫外放射照度計を使用すると,UV-LEDの検査値が50%近く誤って評価されるケースが発生し,問題となっている。
今回両者はこの状況を改善するため,UV-LEDを用いた標準光源の開発に着手した。紫外放射照度計を校正するための校正用標準光源には,放射照度の高い光安定性と,放射照度分布の均一性が求められる。
両者は,今まで培ってきた標準光源の温度安定化技術を応用し,更には高強度UV-LEDと数種類の光学レンズを組み合わせた独自の均一照射光学部を開発することで,周囲温度に対する放射照度変動を0.01%/℃以内に抑え,直径10mm面内の放射照度不均一性が1%以内の均一照射面をもつ光源を実現した。
また,この製品は定格駆動(温調温度90℃ 印加電流1000mA)時のピーク波長は370nmだが,制御温度と印加電流を調整することで365nmまでピーク波長をシフトさせることが可能。そのためUV-LEDのピーク波長に規定があるJISなどの規格(例:JIS Z 2323:2017)に基づく試験で使用される紫外放射照度計の校正でも使用できるとしている。