理研ら,波長228nmの遠紫外LEDで高効率動作を実現

理化学研究所(理研),日本タングステン,埼玉大学は,人への安全性とウイルス不活化の効果がいずれも高い波長228nmのfar-UVC(遠紫外)LEDの高効率動作に成功した(ニュースリリース)。

波長が220~230nmのfar-UVC LEDは,人の活動する空間でもウイルス不活化・殺菌用ができる光源として期待されている。しかし,その作製は難しく,発光効率はUVC LEDに及ばない。

研究グループは,波長230nmのfar-UVC LEDを実現するために,サファイア基板上にAlN高品質バッファー層,Alの混晶組成比が85~95%の高Al組成AlGaN各層をMOCVD結晶成長法でそれぞれ製膜し,225~230nmで発光するfar-UVC LEDを実現した。

サファイア基板上AlNバッファー層の貫通転位密度の低減,量子井戸発光層とp型AlGaNホール注入層,AlN電子ブロック層などの各層の構造最適化を行なった。また,ニッケル/金(Ni/Au)で構成されるp型電極の膜厚を調整することで,電極電圧の低電圧化と素子の高効率化を行なった。

作製したLEDは波長228nmにおいてシングルピーク発光し,オンウエハー測定見積値で最高外部量子効率は0.32%,最高光出力1.8mWを得た。この外部量子効率はサファイア基板上に作製した228nmLEDとしては世界最高値だという。

作製した230nmLED成長基板に,pn電極プロセスを施し,ダイシング加工によりチップを個片化した後,セラミック台座にフリップチップを実装した。実装素子には石英レンズを取り付けて放射特性を改善した。

また,個々のLED実装素子を銅の台座にハンダで実装し,空冷ファン付の放熱板で放熱した。今回,電流100mA動作時に,228nmLEDの温度はオンウエハー測定において72℃に抑えられた。

さらに,今回実現した230nmLEDモジュールは,40×40×60mmサイズで連続動作における概算値約30mW,パルス動作における概算値約70mWの出力が可能であることを確認した。このLEDモジュールはよく放熱され,放熱板の温度は60℃以内に抑えられた。

30mWの連続出力は,far-UVC LEDを2.5m離れたコロナウイルスに照射した場合,15分程度でコロナウイルスが1/1000に減少する照射量で,住宅の居間などのウイルス除去用として十分な出力となっている。

研究グループは,この研究成果は,人の往来する環境でも利用できるウイルス感染症予防対策用の光源として社会に貢献し,今後広く普及していくとしている。

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