公大,光濃縮技術により正確なウイルス計測を可能に

大阪公立大学の研究グループは,抗原抗体反応を検出原理とする検査手法であるイムノアッセイに,光濃縮技術を取り入れた光誘導イムノアッセイ技術を新たに開発した(ニュースリリース)。

新型コロナウイルスやノロウイルスなど,ウイルス由来の感染症に対する迅速かつ高感度な検査法を確立することは,公衆衛生にとって極めて重要だが,ウイルスは直径約100nmの微細なナノ粒子であることが検出の妨げとなっている。

研究グループは,500nmの微細なボウル状構造を持つ光濃縮基板(NPI-PS)を作製した。直径1.4cmの円筒形プラスチック壁で囲まれたガラス基板からなるガラスボトムディッシュ(GBD)を容器として用い,周期的なボウル型構造を光発熱変換効率や光応答の増強のために作製した。

スパッタリング装置を用いて,GBD上に金薄膜を被覆し,その上に鋳型となる平均直径500nmのポリスチレン製のナノ粒子を含んだ液体を全面に広げ,その後,この液体を乾燥させると,ナノ粒子が自己組織化により周期的に配列し,金薄膜全体を覆う。そして,導電性ポリマーを電解重合して粒子間の隙間を埋めて型取りし,有機溶剤を用いて粒子だけを溶解すると,直径約500nmのボウル状の構造が得られる。

今回の研究において開発した光誘導イムノアッセイ技術の具体的な適用例として,まず,NPI-PS上に新型コロナウイルス由来のスパイクタンパク質に選択的に結合する抗体を修飾した直径100nmのナノ粒子の分散液5µLを滴下し,わずか3mWのレーザーを1分間照射することで広範囲に捕捉サイトを形成するようにこの抗体修飾ナノ粒子をコーティングした。

そして,スパイクタンパク質を被覆した赤色の蛍光ナノ粒子の分散液5µLを滴下し,同出力のレーザーを4分間照射して基板上に光濃縮した後,10秒間洗浄し,蛍光イメージングで面積測定して定量評価するという2ステップ法を考案した。

適用例として,人工唾液中の擬似ウイルス(新型コロナウイルスのスパイクタンパク質で修飾されたナノ粒子)を約5分で選択的に検出できること,また,2回目のレーザー照射無しの場合に比べて10~20倍高感度な計測ができることを実証した。

研究グループは,今回の研究成果により,さまざまな感染症,がん,認知症などの早期診断に貢献することが期待されるとしている。

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