第17回レーザー産業賞,国内外で高い評価を受ける6件のレーザー製品・技術が受賞

第17回レーザー学会産業賞が決定した。今年は合計6件が受賞した。受賞社と対象製品・技術は表のとおり。授賞式は4月24日にOPIE25展示ホール内特設会場で執り行なわれる。

レーザー産業賞は,レーザーに関する製品や技術の開発,実用化,普及などで学術・産業の発展に貢献した企業・団体を表彰するもので,『優秀賞』『奨励賞』『貢献賞』が設けられている。

今回の受賞者を見ると,半導体産業を支える光源からレーザー核融合などの実現につながる材料や技術といったトレンドに即し,多岐にわたる成果が選出された。

例えば,優秀賞を受賞したレーザーテックは最先端の半導体製造プロセスにおいて不可欠なEUVフォトマスク検査技術の革新に大きく貢献したことが評価されている。同社が開発したURASHIMA光源は,EUVフォトマスク検査に対応する高輝度EUVプラズマ光源であり,ペリクルの熱負荷抑制と安定した検査用照明の両立により,従来技術の課題を解決することに成功。

さらに,URASHIMA光源を搭載したACTISシリーズは,EUV露光プロセスにおけるマスク欠陥の高感度・高精度検査を可能にし,世界的な半導体メーカーの製造現場で広く採用された。

同じく優秀賞を受賞したオキサイドは,半導体検査装置向け266nm高出力パルスファイバーレーザー光源の開発を通じ,業界の品質管理および製造プロセスの向上に大きく貢献したことが評価された。このレーザー装置は,短波長・高出力・高繰返し動作を実現し,従来の可視・紫外レーザーでは困難であったウェハやマスク表面の欠陥・異物を高速かつ高精度に計測できる。

また,独自の波長変換技術とBBO結晶の育成技術により,長寿命かつ高信頼性を確保し,半導体製造装置市場における次世代プロセスの高度化に寄与。さらに,国内外での販売実績も着実に伸長し,今後の市場成長が期待される分野での技術的優位性を確立した。

パワーレーザーの実現につながる材料の開発で優秀賞を受賞した神島化学工業は,YAGセラミックスの透明化と高品質化に成功し,レーザー媒質としての実用化を実現。また,高度な焼結・加工技術を活かし,単結晶では困難とされてきた接合技術を確立し,高出力・高繰り返しレーザーに必要な大型接合部品の製造を可能とした。

これにより,レーザー核融合や宇宙デブリ除去といった最先端分野への応用が拓かれ,さらにレーザーセラミックスの大規模生産技術を確立し,安定供給を実現したことで,産業用レーザー市場での採用が拡大しており,その技術的優位性が確立された。これらが高く評価された。

これらの革新的な成果は,産業界での進展を促すだけでなく,広範囲にわたる社会的影響が期待されている。レーザー技術の応用可能性がますます拡大していることを示す今回の受賞は,次世代の技術基盤を支える重要な一歩になるだろう。

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