物流ロボティクス,海外メーカー参入で市場競争激化

矢野経済研究所は,国内の物流ロボティクス市場を調査し,市場規模,参入企業の動向,将来展望を明らかにした(ニュースリリース)。​

それによると,2024年度(見込)の物流ロボティクス市場規模(事業者売上高ベース)は,前年度比113.1%の404億3,000万円と推計した。ロボットのラインナップが拡充すると共に物流現場への導入が増加したほか,一案件あたりのロボット導入コストも上昇傾向にあるためだという。

今の動向としては,倉庫賃料の上昇を背景に保管効率が求められるようになり,天井近くまで高密度な保管を実現するロボット自動倉庫の需要が増加した。また,ロボット1台で複数の商品ケースのピッキング・搬送を可能にするACRが日本市場に登場したことで注目を集めている。

市場に展開されるロボットのラインナップが増加したことで,物流現場での自動化の選択肢が増える一方,海外メーカーの日本市場参入も引き続き活発化しており,物流ロボットメーカーの競争は激化しているという。

なお,これまで大規模投資が必要となるロボットの導入は荷主企業が中心となり行なわれていたが,昨今は物流企業自身がロボットを現場に導入するケースも増加している。また,物流ロボットを購入ではなくサービスとして利用するRaaS(Robotics as a Service)展開が増えたことや,各種補助金が追い風となり,中小企業のロボット導入も徐々に見られるようになっている。

さらに,これまで消費者寄りの物流倉庫・小売や卸の物流センターへの導入が多かったが,工場横倉庫・パーツセンターなど工場寄りの倉庫にロボットが導入されるケースも見られ,物流ロボットが導入される現場が広がる傾向にあるとしている。

国内の物流ロボティクス市場では,中国やヨーロッパをはじめとする海外メーカー製のロボットが占める割合が高まっている。

海外物流ロボットメーカーが日本市場に参入するにあたり,重要となるのは日本仕様に合わせたローカライズをどこまで出来るかという点である。例えば,ロボットのサイズを日本の物流現場に合わせた規格にカスタマイズするといったことや,細やかな保守・サポート体制の構築などが挙げられるという。

また,日本語対応が可能なサポート窓口はあるのか,全国で対応できるのか,保守パーツは日本にあるのか等,ユーザーが安心してロボットを導入できる体制作りが求められる。

将来展望については,物流ロボティクス市場規模は2027年度に733億3,000万円,2030年度には1,238億円になると予測した。

欧州や米国をはじめとする海外では,物流ロボットの導入が進んでいる。背景には,日本と同様に少子高齢化や労働力の減少があり,それに加えて物価や人件費の高騰がある。日本においても,地域によって人手不足は既に深刻な状況であり,物流現場での作業を自動化せざるを得ない状況になっていくものと考えた。

また,今後は将来的に人手が減っていくことを見据えると,物流ロボットの活用を前提とした物流センター・物流倉庫の構築が必要であり,ロボット導入率が向上していくと見込まれる。こうした事業継続性を考えた上での導入のほか,荷主企業・物流企業ともに自社のビジネス拡大に向け,戦略的に物流ロボットの導入を進めるケースも増えていく見通しだという。こうした背景から,2030年度の物流ロボティクス市場規模は1,000億円を超える規模になると予測した。

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