金沢大ら,完全原子的平坦ダイヤモンドMOSFE作製

金沢大学,産業技術総合研究所,独Diamond and CarbonApplicationsは,世界で初めて完全に平坦なダイヤモンド表面をMOS界面に有するダイヤモンドMOSFETの作製に成功した(ニュースリリース)。

研究グループでは,独自のダイヤモンド成長技術,不純物ドーピング制御技術,表面・界面制御技術を開発し,2016年に世界で初めてダイヤモンド半導体を用いた反転層チャネル型MOSFETの動作実証に成功している。

しかし,当時開発した反転層チャネルダイヤモンドMOSFETは,MOS界面にチャネルの散乱因子が多く存在し,動作時の抵抗が高いという問題があった。そのような背景から,研究グループは,MOSFET動作時の抵抗を左右するチャネル部分の酸化膜/ダイヤモンド界面において,構造の不完全性がその散乱因子の原因の一つであることを突き止めており,原子的に平坦なダイヤモンド表面をMOS界面に用いることが一つの解決策になると考えられている。

このような背景から,研究グループでは,2022年に開発した,完全平坦表面を持つダイヤモンド半導体層の選択的埋込成長技術を利用し,世界で初めて完全に原子なダイヤモンド表面をMOS界面に有する反転層チャネルダイヤモンドMOSFETを作製することに成功した。

作製したデバイスは,ノーマリーオフ動作,ゲート電圧制御と基本的な反転層チャネルMOSFETの特性を示した。2016年に作製したMOSFETと今回の研究にて作製したMOSFETの同一ゲート電圧印加時のドレイン電流密度(Id)-ドレイン電圧(Vds)特性の比較において,今回開発したMOSFETのIdは,2016年に作製したMOSFETのIdと比較して,12.5倍に向上しており,低抵抗化に成功していることが分かった。以上のことから,このデバイス作製技術は,ダイヤモンドMOSFETの性能向上に大きく寄与することを実証した。

研究グループは,今後,この技術を発展させ,更なる性能向上により,ダイヤモンド半導体の実用化を大きく前進させることが期待できるとしている。

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