イーディーピーは,ダイヤモンド1インチ単結晶ウエハーの発売を4月24日より開始した(ニュースリリース)。
同社は大型のダイヤモンド単結晶を製作しており,種結晶や基板,光学部品などの分野に適用してきており,今年2月には,30×30mmの世界最大級の単結晶基板を発売している。
今回発売するのは,ダイヤモンド1インチ単結晶ウエハー(25mmΦx0.3mm厚(厚さは0.05~1mmまで作製可能))。既に製品化しているハーフインチ(直径12.5mm)のウエハーに比べて4倍の面積となり,ダイヤモンドデバイスの形状によっては大幅に製作するデバイス数が増加する。
これにより,多数個のダイヤモンドデバイスを同時製作する際の歩留や品質のばらつきなどを評価することが可能となり,実用デバイスの開発が加速するという。
また,ダイヤモンドが持つ最高の熱伝導率を利用するヒートシンクでも,大型基板を利用することで既存のプロセス技術による加工が可能となり,製作コスト低減を通じて,その適用範囲の拡大が期待されるとする。
2月に公表した30×30mmの大型ダイヤモンド単結晶基板の発売によって,同社はこの大型ダイヤモンド単結晶を1インチウエハーに使用するだけでなく,これを4個接続したモザイク結晶により,50×50mm以上のサイズを得る計画。
その後2インチ(直径50mm)モザイクウエハーを開発する計画で,2025年12月末までには発売できるように開発を進める。2インチモザイクウエハーの製品化ができれば,実際に半導体製造プロセスにおいて様々なプロセス装置で使用することが可能となる。
半導体デバイスの開発においては,製品歩留の評価ならびにロット間ばらつきを把握することが重要で,すでに確立しているプロセス装置を使用して評価を進められることで,パワーデバイス等のダイヤモンド半導体デバイスが実現する可能性が高まるという。
また,ヒートシンクや,放射線等の各種センサー,表面弾性波フィルター(電波の周波数を選択する部品)等の応用についても,大面積ウエハーを使用して製作できることのメリットは大きいとする。
さらに50×50mm以上の単結晶が開発できれば,それを4個接続することによって4インチモザイクウエハー(直径100mm)が実現する。現在の半導体製造プロセスの状況を鑑みると,ダイヤモンドデバイスの本格的な量産には,この4インチモザイクウエハーが必須だとし,同社はその実現を目指して開発を進めるとしている。