ソニーグループとNatureは2月5日,「Sony Women in Technology Award with Nature(ソニー・ウィメン・イン・テクノロジー・アワード・ウィズ・ネイチャー)」の初代受賞者を発表した(ニュースリリース)。
この賞は,科学,エンジニアリング,数学を含むテクノロジー分野において,より良い地球と社会を築く画期的な研究をリードするキャリア初期から中期の女性研究者を表彰するもの。研究活動を推進するための賞金250,000 USドルが3名の受賞者それぞれに授与される。
東京で開催された授賞式において,受賞者である Kiana Aran氏(米カリフォルニア大学サンディエゴ校),Amanda Randles氏(米デューク大学),Yating Wan氏(サウジアラビア アブドラ国王科学技術大学),および審査員特別賞のJiawen Li氏(豪アデレード大学)が表彰され,このうち2名が光技術による受賞となった。
このうち,Early-Career部門受賞者であるKiana Aran氏は,フィンガーチップセンサーを利用したウイルス検出の研究で,同じくEarly-Career部門受賞者のAmanda Randles氏は,治療戦略を最適化するデジタルツイン技術に関する研究が評価された。
Early-Career部門受賞者のYating Wan氏は,シリコンフォトニクスの研究が称えられ受賞した。同氏の研究は,シリコンチップ上への光源の統合することで,よりエネルギー効率の高いデータ通信と情報処理を実現することに焦点を当てるもの。
同氏は,量子ドットレーザーとシリコンフォトニクスを統合するという斬新な手法で知られ,フォトニックチップの商業利用に向けた重要な研究成果を立証している。同じ目標に取り組むテクノロジー業界の協力者とともに,同氏のチームはこのチップの実用化の方法を探究している。
審査委員会は,同氏がこの分野における新進気鋭の研究者として,「データ通信の未来に大きく貢献し,シリコンフォトニクスセンサーの未来に革命的な変化をもたらす可能性がある」とした。
また,審査員特別賞 受賞者のJiawen Li氏は,世界中の研究者からレベルの高い応募が寄せられたことを受けて,審査員特別賞を授与された。同氏は,ナノスケールの3Dプリントと光ファイバー技術を組み合わせ,髪の毛ほどの細さの内視鏡を開発した。この技術は心臓専門医が患者の心臓発作のリスク判定を行なう血管検査での活用のほか,予防や個別治療にも応用できるという。
バイオメディカル工学者であり,大学で准教授を務める同氏は,この命を救う装置を臨床導入する重要なステップとして,この発明の商品化に積極的に取り組んでいるという。また,共同研究者とともに,マルチモーダル技術の機能の拡張にも取り組んでおり,部位別の温度や化学的変化といったデータの測定を可能にすると同時に,神経疾患や体外受精といった他領域への応用も模索している。