キヤノン,可視赤外同時撮影超高感度センサー発売

キヤノンは,画素構造の変更により,従来機種と比較して,感度を大幅に向上させた35mmフルサイズCMOSセンサー「LI3030SAM(モノクロ)/LI3030SAI(カラー・近赤外線)」を2020年10月下旬に発売する(ニュースリリース)。

この製品は,一辺19μmの大きな画素を採用し,肉眼では被写体の識別が困難な低照度環境下での撮像が可能な35mmフルサイズの超高感度CMOSセンサー。

フルHD(1,920×1,080画素)よりも広い2,160×1,280画素の読み出しが可能なため,広範囲撮像が求められる天体観測用途や,特殊なアスペクト比の高画素画像のニーズがある監視・産業用途など,さまざまな分野で活用できる。

0.0005 luxの低照度環境下でもモノクロ動画の撮像が可能。従来機種と比較して,近赤外線域(800nm)で約3.0倍の感度向上を実現しているため,近赤外線域の光を含む天体観測や夜間の動画撮影の視認性が向上する。

近赤外線光は,大気中の塵の影響を受けづらいため,天体観測において,可視光域では見ることのできなかった銀河の中心部の星の輝きや近赤外線光を中心に発する星の天体観測などに活用することが期待されるという。

カラーフィルターの一画素を近赤外線域用の画素として割り当てることで,0.001 luxの低照度環境下でも,従来機種ではできなかった1つのセンサーでカラー動画と近赤外線動画を同時に取得でき,近赤外線域で約2.3倍の感度向上を実現した。

この製品を活用することで,撮像システムや検査装置などにおいて,カメラ台数を抑えることができ,システム全体の小型化に貢献するという。また,近赤外線域の光の反射率や吸収率の違いを微弱な信号から検出し,物質内部の状態を観察できるため,夜間でのモニタリングや作物の生育状況観察,食品工場の異物混入検査や生体内組織の可視化など,幅広い産業分野・医療分野での応用が可能だとしている。

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