理研ら,超高繰返し極端紫外超短パルス光源を開発

理化学研究所(理研)と東京大学は,二つの異なる波長域の極端紫外高次高調波を3MHzの超高繰り返しで同時に発生できるレーザー光源を開発した(ニュースリリース)。

極端紫外波長域の高次高調波は,コヒーレンス,短波長性,短パルス性などに優れており,物質のさまざまな性質を理解する上で非常に有用だが,これまで繰り返し周波数が低い(最大でも数十kHz)という課題があった。

研究グループは,繰り返し周波数を制限しているレーザーの増幅を取りやめるという発想の転換を行ない,増幅する前のフェムト秒レーザーパルス光の発振器から高次高調波を直接発生させようとした。

モード同期レーザー発振器の内部では,発振器から取り出される出力光の30倍程度のエネルギーを持つパルス光が伝搬していることに着目。また,発振器の長さを通常の3m程度から100mへと33倍程度に伸ばすことで,繰り返し周波数は100MHzから3MHzへと低くなるが,パルスエネルギーは33倍になる。

さらに,熱交換を効率良く行なえるレーザー媒質として,イッテルビウム(Yb)を添加したYAG結晶を薄い板状に加工した Yb:YAG薄ディスク(直径25mm,厚さ250μm)を採用した。このYb:YAG薄ディスクを底面から直接水で冷却することで,1.22kWという励起パワーが可能になり,これまでの1000倍程度のパルスエネルギーを見込んだ。これらの設計により,30×33×1000≒100万倍のパルスエネルギーが得られる見通しが立った。

これらをもとに,長さ約100mの周回型レーザー共振器を真空チェンバー内に組み上げた。その結果,モード同期レーザー発振において,レーザーパルス光の繰り返し周波数は約3MHzに,パルスエネルギーは従来の約100万倍に及ぶ0.7mJに達した。これは,モード同期レーザー発振器内でのフェムト秒レーザーパルス光のパルスエネルギーとして世界最大の値だという。

また,共振器内2カ所の集光点に,それぞれネオンガスおよびアルゴンガスを吹き付けたところ,ネオンガスからは波長域24nm〜60nm,アルゴンガスからは波長域50nm〜115nmの極端紫外高次高調波を同時発生させることに成功した。このようにして,2種類のガスターゲットから波長域の異なる高次高調波を超高繰り返しで同時に発生しすることに世界で初めて成功した。

今回開発した二つの波長域の超高繰り返し高次高調波光源は,パルス幅のさらなる短縮・高調波発生効率の向上といった改良により,物質の超高速ダイナミクスの解明に貢献するものだとしている。

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