阪大ら,高効率のレーザー駆動粒子加速を実現

大阪大学,ドイツのマックス・ボルン研究所,ロシアのサンクトペテルブルグ大学の研究グループは,複数のレーザービームの同時照射で現れる干渉パターンが粒子加速を増強することを世界で初めて実証した(ニュースリリース)。

レーザー加速は,特に固体薄膜を高強度レーザーで照射することで,高エネルギーのイオン加速が起こることが知られており,医療応用や構造物の非破壊検査等への応用が期待されている。

イオンエネルギーの増強には,レーザー光のプラズマ中での吸収率の向上が鍵で,これまで固体ターゲット表面を光の波長オーダーの微細な凹凸構造に加工する方法があった。しかしこのような微細構造は,強いレーザー光の照射の初期段階で破壊され,その効果が持続しなかった。

今回の研究では,LFEXレーザーの4本のビームを同時に同1点に重ね合わせて照射することで,物質表面に光の自己干渉パターンが発生し,微細加工の凹凸構造と同じ働きをすることを示した。干渉パターンはレーザーの照射中に持続的に形成されているため,レーザー吸収率が向上することがわかった。

その結果,発生する電子のエネルギーと個数が飛躍的に増加することを観測した。ビーム間の角度を最適化すれば,4倍以上の効率改善が見込まれるという。

レーザーの干渉という光の特性を活用した今回の成果は,1つの強いレーザービームよりも,総エネルギーが同じ複数の弱いレーザービームの同時照射の方が,レーザーからプラズマ粒子へのエネルギー変換効率が高くなることを示した画期的なもの。

今回の研究で示した光の干渉効果はレーザー照射中に持続するため,レーザーのコントラストや照射時間に依存せず,その効果を発揮することができる。また,干渉パターンはレーザーの照射角度など照射条件で制御することが可能であるため,レーザー駆動イオン加速や高輝度X線源のパフォーマンスの改善が期待できるとする。

研究グループは,今回の成果が医療応用や非破壊検査等に資する将来のハイパフォーマンスレーザーの開発に新しい方向性を示すものだとしている。

キーワード:

関連記事

  • ウシオ電機、車載規格に準拠した高光出力赤色レーザーを発売

    ウシオ電機は2026年3月、車載グレードの信頼性基準であるAEC-Q102に準拠した波長642nmの赤色レーザーダイオード「HL63723DGAM」を新たに製品ラインアップに加えた(ニュースリリース)。 本製品は、202…

    2026.04.08
  • 東大、光の干渉による新しい光情報処理手法を提案

    東京大学の研究グループは、量子光学を利用して、2人の利用者が限られた資源を取り合う状況で、互いに相談しなくても衝突を避けられる新しい手法を提案した(ニュースリリース)。さらに、この手法が有効に働くことを数値シミュレーショ…

    2026.04.03
  • レーザー学会、第18回「産業賞」を決定 4月23日、OPIE2026で授与式

    レーザー学会、第18回「産業賞」を決定 4月23日、OPIE2026で授与式

    レーザー学会は、第18回レーザー学会産業賞の受賞者を決定した。授与式は、OPIE’26(OPTICS & PHOTONICS International Exhibition 2026)の会期2日目となる2026…

    2026.04.01
  • 阪大、3Dプリンティング研究を統合する新センターを設置へ

    大阪大学大学院工学研究科は、2026年4月1日付で「3DPTec統合センター」を設置する。これは、これまで工学研究科で蓄積してきた3Dプリンティング技術の研究基盤を発展的に再編し、医療、食品、ものづくり、芸術など多様な領…

    2026.03.30
  • AI需要で底堅く推移 2025年度光産業出荷額12.6兆円【光協会調べ】

    光産業技術振興協会(光協会)がまとめた「2025年度光産業全出荷額、国内生産額調査結果」によると、2025年度の光産業の全出荷額は12兆6,413億円となり、前年度実績(12兆4,744億円)に対して1.3%増と、緩やか…

    2026.03.13

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア