理研ら,レーザーによる3種のインフラ保守技術を開発

理化学研究所(理研),レーザー技術総合研究所(レーザー総研),量子科学技術研究開発機構(量研機構),日本原子力研究開発機構(原子力機構)らの共同研究グループは,トンネルなどのインフラの保守保全作業を,自動化,効率化するために「レーザー高空間分解能計測」,「レーザー打音」,「レーザーコンクリート切断」と呼ばれるレーザー技術を開発し,コンクリート供試体を計測対象として三つの技術を合わせた屋外試験に初めて成功した(ニュースリリース)。

トンネルなどのインフラの保守保全作業は,技術者の目視確認,手作業(触診・打音・叩き落とし)で行なわれる。したがって保守保全作業には非常に時間がかかり,大きな危険が伴うため,効率的で安全な保守保全法の確立が求められている。

そこで共同研究グループは,レーザー技術を用いて老朽化したインフラの保守保全作業を自動化,効率化するための研究開発に取り組んだ。

理研は,インフラ表面の微細な状態を見極めるために「遠隔的散乱光検出・干渉計測・分光計測」の3つの方法を融合し,高空間分解(幅0.15mmのひび割れ及び0.1mmの凹凸の検出が可能)での表層部3次元計測を実現した。また,レーザーを用いた遠隔・非接触検査である「レーザー誘起振動波診断技術(レーザー打音)」は,西日本旅客鉄道,レーザー総研等が先行して研究開発している。

レーザー総研と量研機構は,計測機構を改良することで高速化を行ない,従来の速度を大きく上回る1秒間に50回の計測を可能にした。これは光音響波計測法を基礎とした,レーザーをトンネル内壁に照射することでコンクリート内部の欠陥を探査する方法。

さらに原子力機構は,レーザーを用いてコンクリートの脆弱部を溶断(切断)し除去する技術「レーザーコンクリート切断」の原理実証と高速・省力化のためのデータベースの構築を行なっている。

これらの三つの技術はそれぞれ,現在インフラの保守保全作業で行なわれている目視確認と手作業による触診,打音検査,叩き落としに相当し,将来,インフラ保守保全作業を遠隔かつ非接触で,高速に行なうための基礎になるものだとしている。

実構造物を対象とした性能検証,使用性・実用性向上など,社会実装に向けた課題は多く残されているが,今後,道路管理者や民間事業者の協力を得ながらさまざまなタイプの欠陥の検出・処理の実地検証を重ね,社会実装に向けた課題を解決し,実用化につなげていくとしている。

キーワード:

関連記事

  • NVIDIAとコーニングが提携、AIデータセンター向け光接続製品を米国で大幅増産

    米NVIDIAと米コーニング(Corning)は2026年5月6日、米国において次世代AIインフラの構築に不可欠な先進的な光接続製品の生産を大幅に拡大するため、複数年にわたる商業・技術提携を発表した(ニュースリリース)。…

    2026.05.08
  • 反射型光ファイバー分布計測で6 mm分解能、芝浦工大と横浜国大が実証

    芝浦工業大学と横浜国立大学の研究チームは、光ファイバーに沿った温度やひずみの分布を測定する反射型のブリルアン光相関領域反射計(BOCDR)において、6 mmの空間分解能を実証した(ニュースリリース)。反射型ブリルアン計測…

    2026.04.17
  • ウシオ電機、距離計測向けパルス出力200mWの赤色レーザーダイオードを発売

    ウシオ電機は、測距儀など高精度な距離計測用途に対応した波長685nmの赤色レーザーダイオード(LD)「HL67241MG」を2026年4月より販売開始した(ニュースリリース)。 近年、建設やインフラ整備の現場では、建築測…

    2026.04.14
  • 古河電工など、航海中の甲板整備でレーザー施工の有効性を検証

    古河電気工業、商船三井ドライバルクは、商船三井が所有し、商船三井ドライバルクが運航する64型ウルトラマックスばら積み船「Green Winds」)に、インフラ構造物向けの表面処理ソリューション「インフラレーザー」シリーズ…

    2026.02.09
  • JR東海と古河電工、鉄道台車向けレーザーブラスト技術「インフラレーザー」を実用化

    東海旅客鉄道(JR東海)と古河電気工業(古河電工)は、鉄道台車の探傷試験に先立つ塗膜除去工程において、古河電工が開発したインフラ構造物向けレーザーブラスト技術「インフラレーザー」を採用し、2025年6月から運用を開始した…

    2025.11.14

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア