プラズマ方式水銀フリー深紫外線面光源UV-LAFiの応用展開と水銀ランプ代替を目指した性能改善の取り組み
1. はじめに
紫光技研はプラズマテレビの技術者たちが2015年に創業し,プラズマ方式の水銀フリー深紫外線(DUV)面光源UV-LAFi(ラフィー:Luminous Array Film)を開発して製造販売してきた1〜3)。
これまでUV応用ごとに波長,形状・サイズ,フレキシブル型など最適な面光源を開発して提供してきた。小型・軽量,低消費電力で曲げることができ,ブロードバンド発光である点が特長となり,従来にない光源として新たなUV応用を生み出すことにつながっている。

本稿ではUV-LAFi面光源の特長と,これを活かした応用展開,最新の応用事例,および水銀ランプ代替を目指した光源高性能化の取り組みについて述べる。

2. UV-LAFiの構造と特長
UV-LAFiは図1に示すようにチューブ状のプラズマ発光素子を並べて電極フィルムに貼り付けた発光デバイスであり,Xeガスプラズマのエキシマ発光(172 nm)真空紫外線(VUV)をベースとしてVUV励起のUV蛍光体と組合せて図2の波長を提供している。各波長は蛍光体を選択することで,同一の構造・製造プロセスで容易に製作できる。VUVと260 nmなど複合波長も可能である。また,電極基板とチューブ発光素子の長さ・配列を選ぶことで図3のような曲面光源や,長尺のラインUV照明に対応している。タイリングによる大面積照射では 最大30×110 cm2(10 mW/cm2)の実績がある。

3. 応用展開と最近の開発事例
3.1 光源の特長を活かした応用展開
UV-LAFi面光源の特長を活かして応用開拓を進めてきた4)。フレキシブルで円筒外照型が可能な点が特長であり周囲360度からの均一安定照射でUV分解・反応促進や流水処理に応用されている。照射対象の石英容器に合わせた光源や,流水経路に合わせた一体型UV水処理装置など,コンパクトな装置設計が可能である(図4)。

このほか,長尺ライン照射や大面積均一照射,高速点灯制御を活かして,樹脂フィルム加工における欠陥検査に用いられている。ブロードバンド発光で250 nm以下の短波長の効果が得られることから,化合物半導体ウエハの光電気化学エッチング装置に用いられている。また,VUVの172 nmは,高湿度やマイナス40℃の低温など環境条件によらず安定したオゾン発生が可能で,さらにNOxが発生しない点,小型・低消費電力でバッテリ駆動に適する点が評価されてオゾン発生器に使用されている。