レーザー核融合の半世紀-浜松ホトニクスが描く「10kJ・10Hz」へのロードマップ

目標10kJ。高出力レーザーの他分野への可能性

-今後のロードマップは

短期では2028年までに1kJ,長期では2040年までに10kJ(1ビーム)を目標としています。実現には励起光源である高出力半導体レーザーのさらなる強化が鍵となります。今年度,NEDOの「フロンティア育成事業(極限マテリアル)」におけるパワーレーザー領域に当社は採択され,半導体レーザーの超高出力化を数年スパンで推進します。1kJ・10Hzとなれば平均出力10kWに伴う発熱をどう冷却するか,レーザー波面の歪みをどう抑え補正して良質なビームを燃料ターゲットに正確に届けるのかが大きな課題です。まずは現有装置で課題を抽出し解決策を検証し,そのうえでスケールアップする計画です。

繰返し周波数の目安は発電炉側の設計によりますが,最低でも10Hzが世界的な目標値として共有されています。経済性などから20Hzなどの要求が出る可能性もありますが,当面は「ドライバーとなるレーザー出力の増強」が最優先です。

-高出力レーザーの横展開は

宇宙分野ではスペースデブリ除去,通信,エネルギー伝送などへの応用が注目されています。さらに先行して社会実装の可能性があるのは半導体製造技術です。前工程では半導体レーザーによるプリント基板製造や高出力固体レーザー駆動によるEUV光源開発,後工程ではレーザー微細加工の高度化です。国家による重点投資領域でもあり,当社の半導体レーザーと高出力レーザー技術が貢献できると考えています。

-特別企画展パワーレーザーPlusに期待することは

今回のパワーレーザーPlus(2025年11月11日(火)-13日(木),パシフィコ横浜 インターオプト2025-光とレーザーの科学技術フェア展示会場内)では,レーザー核融合と高出力レーザーの取組みを幅広くご紹介し,産業全体の活性化とサプライチェーン構築につながる交流を来場者の皆さまと深めたいと考えています。解決すべき課題や目指すべき将来像をオープンに共有しながら仲間を増やしていきたいですね。

(聞き手:三島滋弘)

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