メタサーフェスが生み出す、光学の新常識

広がる応用とこれからの光学

─メタマテリアル・メタサーフェス分野の将来について

短期的には、5年以内にメタレンズのスマートフォンなどへの導入が進み、本格的な実用化が進むと考えています。現在のカメラは複数のレンズを組み合わせた複雑な構造ですが、将来的には非常に薄い1枚の構造に置き換わる可能性があります。これにより小型化・軽量化が進み、カメラのあり方そのものが変わるでしょう。

現代でアナログレコードが愛されているように、「レンズの味」を重視する用途では従来型レンズも残ると思われますが、一般用途ではメタサーフェスを用いた薄型・高機能光学系への移行が進むと考えられます。現在、企業による開発も急速に進んでいます。

顕微鏡をのぞき込み、研究に向き合う表情は真剣そのもの

─ライフサイエンス分野への応用について

例えば、コンタクトレンズにメタレンズを組み込む研究や、バイオミメティックデバイスへの応用も検討されています。また、センサーとしての応用も重要です。メタサーフェス上に細胞を配置し、その場で分光を行なって細胞状態を解析する手法などが考えられています。さらに、X線イメージングの高感度化など、多様な応用が期待されています。

光学系の集積化は、回折限界のためにエレクトロニクスに比べて遅れていましたが、メタサーフェスによって光学系そのものが半導体のように扱えるようになりつつあります。つまり、光と電子を一体として設計できる時代が到来しつつあるのです。

─若手研究者へのメッセージをお願いします

私の経験から言えるのは、「自分が本当に興味を持てるテーマを見つけること」が何より重要だということです。私が白熱電球の研究を始めた頃は、すでに「これからはLEDの時代だ」と言われていました。つまり、時代の流れとは逆方向に見えるテーマだったのです。それでも、自分が面白いと思えるテーマに出会えたなら、それを大切にしてほしいと思います。流行に乗ることは簡単ですが、ぜひ自分の中の興味を信じて、長い時間をかけて育ててください。

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