普及に向けてはオールジャパンで挑むべき
―中国企業がペロブスカイト太陽電池の生産を始めたと聞きました
実際に中国の生産工場を視察してきました。彼らが生産しているのは1×2mのガラス型モジュールで,将来は約20,000円での販売を予定しているそうです。現状ではシリコン系太陽電池と比較して,ペロブスカイト太陽電池はワット当たりのコストが5倍になるとのことですが,量産効果で低下すると見込んでいます。寿命は25年を見込んでいて,平均効率は16%としています。最大では19%の効率も得られているようです。

生産工場は第一工場が10,000m2の大きさで,ここではパッケージングまで行なっています。さらに今,隣接して20,000m2の第二工場を建設中で,第一工場では本年の7,8月頃からは量産を開始するそうです。量産するということは販売も開始するというわけで,その生産量の目標はワット換算で1GWというのです。
日本では軽くて曲げることが可能なペロブスカイト太陽電池が着目されていますが,中国ではメガソーラー発電所としての使用を考えているので重量があっても構わないというのです。彼らはシリコンとのタンデム型ペロブスカイト太陽電池も開発しています。現状のシリコン系太陽電池を超える効率を得ることを必須としているので,そのようなタンデム型にしているようです。
―日本がペロブスカイト太陽電池で競争力を高めるには?
ガラス型では技術力というよりも,財力と生産力で見ると日本は難しい。ですが,フィルム型はほとんど中国ではやっていません。ここに日本の強みが発揮できると思います。フィルムそのものの素材の質も重要です。さらにフィルム型の製造は非常に難しく,温度や塗布の制御など製造設備には高精度な条件が要求されます。こうした素材と製造設備の開発では,日本に優位性があると思っています。
私はペロブスカイト太陽電池の事業化に取り組んでいる東芝,パナソニック,積水化学工業,エネコート,カネカといった企業を経済産業省に集めて,中国への対策などを討論する場を設けました。日本国内だけで競争している場合ではないということで,中国に勝つためには,鉛のリサイクル手法であったり,用途開発であったり,さらには特許の情報共有をしていくといった考えを示しました。
やはり,決断のスピードも大事かと思います。中国では設備の購入にしてもスピード感をもって決めますし,将来を見据えて投資を行なっています。投資は政府からではなく,ほとんどが民間からだというのです。日本の大手企業にも思い切った投資を期待したいところです。あるいは,政府支援のもと,ペロブスカイト太陽電池を産業化していくオールジャパンの新会社を作るといったことが必要でしょう。
―休日の過ごし方を教えてください
趣味は約40年間続けているバイオリンです。毎週日曜日は,仕事をせずに演奏の練習に時間を当てています。以前はニューイヤーコンサートにも出てたりしていましたが,現在は市民交響楽団で年2回の定期演奏会に出たりしています。また,少人数でのアンサンブルにも参加して演奏しています。発表会はあまりないですが,楽しんでいます。
(月刊OPTRONICS 2025年4月号 Human Focus「ペロブスカイト太陽電池の産業化,オールジャパンで挑むべき」)



