NIFS、超小型レーザー技術の社会実装へ新拠点発足

核融合科学研究所(NIFS)は2026年6月21日、自然科学研究機構岡崎コンファレンスセンターにおいて、「レーザー科学革新グループ」および「TILAコンソーシアム」の記念講演会・発足式を開催した。TILAはTiny Integrated Lasers(小型集積レーザー)の略で、超小型レーザー技術を核として、多様な産業分野との連携を促進し、新たな研究領域の開拓と社会実装を目指すオープンイノベーション拠点として位置づけられている(TILAコンソーシアムのサイトはこちら)。

(写真)2026年6月21日、自然科学研究機構岡崎コンファレンスセンターにおいて

NIFSは、核融合エネルギーの実現に向け、プラズマ物理、計測、材料工学、超伝導技術開発など多岐にわたる研究を推進してきた。近年、核融合研究を取り巻く環境は大きく変化しており、産業界との協働や先端技術の社会実装がこれまで以上に重要となっている。こうした背景のもと、同研究所は2026年4月よりフュージョンエネルギー産学連携室に「レーザー科学革新グループ」を設置した。また、分子科学研究所で設置・運営されてきた小型集積レーザー(TILA)コンソーシアムをNIFSで引き継ぎ、核融合研究とレーザー科学の融合による新たな価値創出に取り組む。

記念講演会では、レーザー学会「小型集積レーザー(II)」専門委員会との共催により、レーザー科学、研究開発戦略、産業応用、イノベーション創出などをテーマとした講演が行なわれた。冒頭では、分子科学研究所の渡辺芳人所長が挨拶した。続いて、Stanford UniversityのMartin M. Fejer氏による「Ultrabroadband Nonlinear Nanophotonics in Thin-Film Lithium Niobate」と題した特別講演がWebで行なわれたほか、文部科学省の迫田健吉氏が基礎研究から価値創造までのイノベーションについて講演した。

また、核融合科学研究所の平等拓範氏は、「“小型集積レーザー”開発の歩みと“レーザー科学革新”に向けて」と題して講演し、小型集積レーザー技術の展開と今後の方向性を紹介した。さらに、農業・食品産業技術総合研究機構の久間和生氏が、農業・食品分野を中心とした科学技術イノベーションの創出について特別講演を行なった。NIFSの佐野雄二氏は、TILAコンソーシアムにおけるイノベーションへの取り組みを紹介し、レーザー計測、レーザー加速、レーザー・プラズマ相互作用など、核融合研究との親和性が高い領域との連携強化に期待を示した。

第二部では、「レーザー科学革新グループ」および「TILAコンソーシアム」の発足式が行なわれた。NIFSの山田弘司所長、自然科学研究機構の川合眞紀機構長、NGKの吉野隆史執行役員が挨拶し、続いて平等特任教授が閉式の挨拶を行なった。今後、同グループとコンソーシアムは、超小型レーザー技術を基盤に、核融合研究のみならず幅広い産業分野との接点を広げ、レーザー科学の新たな展開を推進していく。

キーワード:

関連記事

  • 夏目光学、東大との産学連携による高精度X線ミラー開発が「ものづくり日本大賞」優秀賞を受賞

    夏目光学(長野県飯田市)は、「ナノサイズの微小世界から何億光年と遥か宇宙の彼方を探る高精度X線ミラーの開発」により、第10回「ものづくり日本大賞」優秀賞を受賞した(ニュースリリース)。本開発は、東京大学先端科学技術研究セ…

    2026.04.03
  • 阪大発のスタートアップ企業、宇宙戦略基金事業「高出力レーザーによる空間自在利用技術」で採択

    大阪大学レーザー科学技術研究所発のスタートアップ、パワーレーザーは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が公募する宇宙戦略基金事業(第二期)「空間自在利用の実現に向けた技術」において、「(B)軌道上物体除去技術の開発」および…

    2026.01.28
  • 埼玉大と東大、レーザー計測技術によりストリーマ放電の電子密度と電界を計測

    埼玉大学と東京大学は、高性能なレーザー計測技術により、放電発生初期の超高速現象(ストリーマ放電)を支配する主要パラメーター群をセットで直接計測することに成功した(ニュースリリース)。 放電は次世代半導体の製造プロセスや宇…

    2025.12.16
  • 東大,滑らかで急な斜面の構造を三次元的に計測

    東京大学の研究グループは,透明で滑らかな表面を含む,従来は測定が困難であった対象物の構造を三次元的に計測可能な原理を提案し,実験により実証した(ニュースリリース)。 光センシングや顕微技術においては,滑らかで急な斜面の計…

    2025.04.16
  • 京セラ,極小物体の距離を計測可能なAI測距カメラ

    京セラは,これまで測定が困難であった,極小物体の距離と大きさを計測することができる「AI測距カメラ」を開発したと発表した(ニュースリリース)。 世界の労働力不足は,先進国を中心に多くの国で共通する社会課題となっている。特…

    2024.11.11

新着ニュース

人気記事

編集部おすすめ

  • オプトキャリア