NTTは、200GHz級の動作速度と実用レベルの高い信頼性を両立した次世代光通信向け受光素子を世界で初めて実現した(ニュースリリース)。データセンタ内通信のさらなる高速化に向け、毎秒3.2テラビット級の超高速光通信の実用化につながる成果として期待されている。
今回の成果は、信号速度400Gbaud級の光通信に対応するために必要となる受光素子の高速化と信頼性確保を同時に達成したもの。1310nm帯の光通信において、200GHzを超える動作速度と世界最高の高速・高感度性能(感度帯域積115GHz・A/W)を達成したほか、データセンタ環境を想定した85℃条件で50年以上に相当する長期信頼性を見込めることを実証した。

近年、コンピュータの並列処理や動画配信などの拡大により、データセンタ内通信のトラヒックは急増している。現在は100Gbaud級の送受信器を用いた800Gbit/s級イーサネットが導入されているが、将来的には3.2Tbit/s級通信の実現が議論されており、そのためには200~400Gbaud級の信号速度に対応した光デバイスが必要になる。

しかし、受光素子は高速化に伴ってサイズが小型化するため、受光感度や長期信頼性が低下するという課題があった。NTTは今回、複数の新しい構造技術を組み合わせることで、高速動作と高感度、さらに長期信頼性を同時に実現した。

具体的には、光の干渉を利用して薄い吸収層に光を閉じ込める「干渉型垂直入射構造」により高速化と高感度を両立した。また、動作領域を素子内部に閉じ込める「階段状の反転型構造」によって側面を流れる暗電流を抑制し、世界最小級となるpAオーダーの暗電流を実現することで高い信頼性を確保した。さらに、半導体レンズを受光素子に集積する技術を導入し、光の位置ずれ許容度を2倍以上改善することでトランシーバの組み立て効率を高め、製造コスト低減にもつなげた。

今回開発した受光素子は、既存の測定技術では400Gbaud級信号の評価が困難なため、現状で可能な最高水準である200Gbaudでの伝送デモ実験を実施した。その結果、アイダイヤグラムが大きく開いた良好な信号品質を確認し、超高速通信に向けた有効性を示した。また、Telcordia GR-468-Core規格に準拠した高温通電試験により、長期信頼性も実証された。
この成果は、2026年3月15日から米国ロサンゼルスで開催される光通信分野最大の国際会議「OFC2026」で発表される予定。今後NTTは、本受光素子技術を活用し、3.2Tbit/s級高速光通信の実用化に向けたデバイス開発を進めるとともに、NTTイノベーティブデバイスでの製品化を目指すとしている。



