KDDI、KDDI総合研究所、ノキアソリューションズ&ネットワークス、および東芝デジタルソリューションズは、KDDIの大阪堺データセンターと大阪市内のネットワークセンターを結ぶ商用ネットワーク上で、耐量子セキュリティ技術を使い、大容量データ伝送実証に成功した(ニュースリリース)。

近年のAIの普及と利用拡大に伴い、国内ではAIデータセンターの構築が進んでいるが、電力確保のため日本各地に分散配置されることが想定されている。データ通信量の増加に対応するため、分散配置したデータセンター間やデータセンターと他の拠点をつなぐネットワークには、高速・大容量・低遅延・高信頼といった要素が不可欠となる。
AI技術の進化に伴いサイバー攻撃手法は高度化しており、さらに量子コンピューターの進展により、現在広く利用されている暗号が将来的に危殆化するリスクが指摘されている。サイバー攻撃が高度化する中、ソブリン性確保の観点からも量子コンピューター時代を見据えたネットワークセキュリティの強化が急務となっている。
現在、量子コンピューター時代を見据えたセキュリティとして注目されているのがQKDとPQCである。QKDは、光子を利用して共通鍵のもととなる情報を相手に伝える。第三者が盗聴しようとすると光子の状態が変わるため、状態変化のない情報を用いることで、盗聴されていない安全な共通鍵を生成することができる。PQCは、量子コンピューターでも計算困難な数学の問題を設定することで、破られにくい次世代の暗号技術として米国でも標準化が進められている。
今回の実証は、KDDIの大阪堺データセンターと大阪市内のネットワークセンターをつなぐ商用ネットワーク環境下で行なった。QKDとPQCを使って配送した共通鍵による多層防御構成で、57.6Tbpsの大容量データを遅延の増加を招くことなく伝送することに成功した。多層防御に使う共通鍵を安全に配送する方法は複数の組み合わせパターンが考えられるが、その中でも将来の商用サービス化を見据えた構成として、今回はQKDとPQCを使う方式を採用し有効性を確認した。
57.6Tbpsの大容量データの伝送は、光ファイバーでの長距離・大容量通信に適した、C帯とL帯を利用し、データを暗号化するための共通鍵の配送には、QKDとPQCを使用した。共通鍵は、現在広く普及している共通鍵暗号規格のAESとともに、KDDI総合研究所が開発したRocca-Sを使用し、暗号化は、物理層とアプリケーション層の複数レイヤで多層的に実施したという。
現行ネットワークでも導入しやすいPQCに加え、より高いセキュリティを求めるお客さま向けにQKDを組み合わせて共通鍵を配送した。配送された共通鍵を用いて、複数のレイヤでデータを暗号化する多層防御型ネットワークを構成した。金融機関や医療機関など、高いセキュリティが求められる専用線や、AIデータセンター間接続での利用を主なユースケースとしている。
なお、今回の実証は、商用ネットワーク上で量子鍵配送(QKD)と耐量子計算機暗号(Post-Quantum Cryptography、以下 PQC)の2種類の耐量子セキュリティ技術を用いてテラビット級の大容量データ伝送を行った取り組みとして、国内初という。
同社は今後も、AIの利用拡大と高度化による通信量の増加や、量子コンピューターの進展によるセキュリティの脅威など通信を取り巻く環境変化に備え、「高セキュリティ・大容量ネットワーク」を提供するための技術開発を進めていくとしている。



