東京大学、東京科学大学、英Bath大学、ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)は、従来の酵素測定法の欠点を解決する光学マイクロニードルデバイスを世界ではじめて開発した(ニュースリリース)。
採血不要の臨床検査を可能にするためには、血液に代わる生体試料を何にするかを考えなくてはならない。中でも病気の診断に有用な生体成分が多く含まれる皮膚中の間質液(ISF)は有力な候補となりえる。しかしながら、ISFの採取・成分分析は血液に比べて難しく、極微量の抽出技術あるいは、超小型センサーをマイクロシリンジに直接組み込む工夫が必要となる。
今回の研究は、超微量サンプル中のブドウ糖を高精度で定量することをゴールに定めたもの。血糖測定法として現在使用されている酵素法では、標的分子となるブドウ糖を酵素反応で別の物質に変え消費してしまうため、サンプル量が微量である場合には定量の正確性に影響を与えてしまう。
そこで、検査中にブドウ糖を消費しない光学マイクロニードルデバイス式の血糖測定法を考案し実証した。また、酵素のような不安定生体物質を使用しておらず、デバイス使用期限の長期化にも繋がる。
研究グループは、毛細血管が密に走り血漿成分が豊富な皮膚網状層のISFを効果的に採取するために長さ2mmの透明度の高いポリ乳酸製マイクロニードルを製造し、その先端部にハイドロゲル光重合により機能性を持たせる技術をこれまでに報告している。
今回、ブドウ糖と定量的かつ可逆的に結合するボロン酸を含む蛍光性ハイドロゲルで先端が機能化された光学マイクロニードルデバイスを開発し、サブナノリッターレベルという超微量サンプル中のブドウ糖を高精度で定量することに成功した。

マイクロニードルの先端部には、直径100μm×深さ100μmのポケットがあり、その接触部に埋め込まれたボロン酸含有ハイドロゲルブロックは、ブドウ糖を検知すると光の照射により蛍光を発する。様々な濃度の試料から得られる蛍光をGRINレンズで集光し、その強度を調べるとハイドロゲル中のボロン酸に取り込まれたブドウ糖量との間に定量性があることが確認できた。この時の誤差は0.0%〜9.6%と、市販されている自己血糖測定器の誤差範囲基準に十分収まった。

研究グループは、静脈血に比べて採取の際の身体負荷が少ないものの微量採取しかできない皮膚中の間質液を用いた血糖値の予測を可能にする技術として期待されるとしている。



