NICT、衛星・HAPS等に搭載可能な小型光通信端末を用いて2Tbit/s空間光通信を達成

情報通信研究機構(NICT)は、衛星・HAPS等に搭載可能な小型光通信端末を用いて2Tbit/sの空間光通信(FSO)の実証実験に世界で初めて成功した(ニュースリリース)。

(図)NICTの7.4km、2Tbit/s水平空間光通信実験

これまでの空間光通信の実証は、欧州を中心にテラビット超えの通信の実証が進められてきたが、いずれも大型の据置型装置を用いた実験室レベルの構成であり、衛星やHAPSなどの移動体へ搭載するには、サイズや重量の制約を満たすことや、動揺する環境下でも安定した通信を継続しなければならないという課題があった。また、アジアでは、テラビット超えの空間光通信実証は報告されておらず、最大でも100Gbit/s程度に留まっていた。

研究グループは、東京都小金井市の本部と7.4km離れた実験地点に、それぞれ異なるタイプの小型光通信端末(ST型・FX型)を設置し、都市部・日中という厳しい環境下での水平空間光通信実験を実施し、波長分割多重(WDM)による5チャネル×400Gbit/s構成により、合計2Tbit/sの安定した通信を達成した。

(図)NICTが開発したST・FX光通信端末

これらの端末は、キューブサットを含む超小型衛星への搭載を前提に設計され、サイズ・重量の制約をクリアしており、従来の大型の据置型装置を用いた実験室レベルの構成とは一線を画すもの。小型化を実現するために、端末をキューブサットの厳しいサイズ・質量・消費電力(SWaP)の制約内に収める設計方針を徹底し、①新規設計部品の開発、②商用部品の再設計・改修、③既存部品の積極活用という3つのアプローチを実施することにより、必要な機能を維持しつつ、プラットフォームへの負担を最小限に抑え、装置全体のサイズ、質量、消費電力を大幅に抑えることができた。

また、移動体での運用を想定した動的環境へ対応するため、粗捕捉と精追尾による高精度アラインメントを実装するとともに、レーザー光の広がり角度をリンクの状況に応じて動的に調整できる、独自のビームダイバージェンス制御技術を実装した。

さらに、今回開発した端末は、様々なプラットフォームや運用シナリオに柔軟に対応できるように、ST端末とFX端末の選択による柔軟な構成選択や通信要件に応じた10Gbit/s型または100Gbit/s型のモデムの選択、さらに内部の調整機能によるリンク状況に応じた適応動作が可能となっている。

研究グループは、この成功は、Beyond 5G/6G対応の非地上系ネットワーク構築に向けた実用化の観点での大きな前進になるとしている。

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