千葉大学と中国天津大学は、光の準粒子である光スキルミオンを市販の光学素子1枚で発生することに成功した(ニュースリリース)。

波面や偏光が空間的に制御された光渦や偏光渦などが、光トラッピングや量子通信、超解像度顕微鏡などの幅広い分野で活用されているが、光渦や偏光渦を超えた新しい光として光の準粒子である光スキルミオンが実証されている。
この光スキルミオンとは、電子のスピンの代わりに、光の偏光が集まって作る偏光の渦構造。渦の構造に対応してネール型(Néel-)、ブロッホ型(Bloch-)、アンチ型(anti-)スキルミオンという種類の光スキルミオンがあるが、光スキルミオンの渦構造は大気揺らぎなどの擾乱に対して堅牢で自由空間を長距離伝播しても保持される。
そのため自由空間光通信のキャリアとして応用が期待されている。また、スキルミオンと強い類似性を持つ光スキルミオンは、物質中のスキルミオンを生成・消滅・輸送できる物質操作の可能性が示唆されている。
しかし、光の準粒子は、これまで高価でかつコンピューター制御が必要な液晶空間変調器などの光学装置を用いて発生させるしかなかった。また、ガウスビームと光渦の重ね合わせ状態であるため、干渉光学系が必要不可欠だった。
そこで研究グループは、qプレートと呼ばれる円偏光を入射して、逆向きの円偏光光渦を発生させる市販の光学素子に入射させるだけで、光スキルミオンなどの光の準粒子が発生することが可能か検証した。
実験の結果、赤外1064nmのレーザー光を円偏光にして、市販の光学素子qプレートに入射するだけで光スキルミオンという特殊な光を発生させることに成功した。さらに、1/4波長板を使用して光を直線偏光に戻すことで、光バイメロンを発生した。
通常、1064nmのレーザー光に対しては、1064nm用のqプレートを用いる。しかし、今回あえて数百nmずれた波長で設計・制作されたqプレートを用いた。すると、qプレートに入射した光の一部は逆向きの円偏光光渦に変換され、変換されなかった入射光は円偏光ガウスビームとしてそのまま素子を透過してしまうという性質を利用して、自動的にガウスビームと光渦の重ね合わせた状態を生成した。
光スキルミオンの純度を示すスキルミオン数は0.9(理想値は1)を超え、高品位な光スキルミオンが発生していることがわかった。
研究グループは、この結果は、光の準粒子を極めて簡便に発生できる新たな技術として、非常に幅広い分野での応用が期待されるとしている。



