広島大学の研究グループは、可視光照射により低濃度の二酸化炭素(CO2)を、有用な化学物質である一酸化炭素(CO)へ効率的かつ選択的に直接還元する光触媒システムの開発に成功した(ニュースリリース)。

太陽光を利用したCO2の光触媒還元資源化は、人類が直面している地球温暖化とエネルギー及び炭素資源不足の問題を一挙に解決する技術として注目されている。しかし、これまで開発されたCO2還元光触媒の多くは、純粋なCO2を還元することを目指していた。
しかし工場や発電所の排ガス中のCO2濃度は数%~20%程度と低く、その中からCO2を分離・回収するには多大なエネルギーと費用を要する。そのため、排ガス中の希薄なCO2を直接資源化できる光触媒システムの開発が求められている。また、多量のCO2を処理するためには、光触媒を形作る物質は、安価であり、かつ多量に使用可能でなければならない。
研究グループは、マンガン錯体触媒の配位子に立体的に嵩高いメシチル基を導入することで光触媒耐久性を大幅に向上させることに成功した。また、トリフルオロエタノール(CF3CH20H)と少量のジイソプロピルエチルアミン(DIEA)を共存させると、このマンガン錯体触媒が、低濃度のCO2しか含まないガスからもCO2を効率よく捕集し分子内に取り込むことを見出した。この反応により捕集されたCO2は、今回開発した光触媒システムにおいて効率よくCOへと選択的に還元できる。
このマンガン錯体触媒と有機色素4DPAIPNを含む溶液に可視光を照射すると、高い耐久性と効率でCO2がCOへと選択的に変換された。さらにこの光触媒システムは、反応容器中のCO2濃度を10%さらに1%へと低下させても優れた光触媒能を維持した。

100%、10%および1%CO2雰囲気下でそれぞれ光触媒反応を行なった際のCO生成の経時変化は、100%CO2雰囲気下の約88%と44%の速度でCOが生成し、高い光触媒反応速度が維持されることがわかった。
研究グループは、この成果は、火力発電所や製鉄所からの排気ガス中のCO2を、エネルギーとコストのかかるCO2濃縮過程を経ずに直接資源化できるCCU技術への活用が期待されるとしている。