日大ら,光合成生物分裂の新たな仕組みを発見

日本大学,独ダルムシュタット工科大学,基礎生物学研究所,山形大学,国立遺伝学研究所は,光合成生物の細胞や葉緑体の分裂制御において,これまで未知であった多重膜の分裂を制御する仕組みを解明した(ニュースリリース)。

私たちの身の回りの植物や藻類が行なう光合成は,細胞内にある葉緑体という小さな器官が担っている。この葉緑体は,もともとはシアノバクテリアという光合成細菌が細胞内に共生して生まれたと考えられている。

生命が次の世代へと受け継がれるためには,細胞自身が分裂するだけでなく,内部にある葉緑体のような器官も同じように分裂し,新しくできる娘細胞へと正確に分配されなければならない。

しかし,細胞全体の分裂と,その内部にある葉緑体の分裂が,どのようにして足並みをそろえているのか,その連携を司る詳細な仕組みは,これまで大きな謎に包まれていた。

研究グループは,葉緑体の祖先であると考えられているシアノバクテリアと,植物のモデル生物である緑藻クラミドモナスを用いて,これまでチラコイド膜の構造形成に関わるとされてきたCurT/CURT1タンパク質の新たな機能の探索を行なった。

遺伝子操作によってCurTタンパク質を作れなくしたシアノバクテリアを観察したところ,細胞が正常な球形ではなく,いびつな形になったり,大小不均一な大きさで分裂したりする異常を発見した。これは,細胞分裂が正常に行なわれていないことを示している。

さらに詳細に解析を進めた結果,CurTタンパク質が,バクテリアの細胞分裂で中心的な役割を果たす FtsZタンパク質と直接的に相互作用することを突き止めた。FtsZは細胞の中央にリング状の構造を作り,そこがくびれて細胞が二つに分かれる。CurTタンパク質は,このFtsZリングの正しい配置や機能に関わることで,細胞分裂の精度を保つ役割を担っている可能性が強く示唆された。

この機能が真核生物である緑藻の葉緑体にも保存されているかを調べるため,クラミドモナスでCURT1 タンパク質を欠損させた。その結果,細胞分裂は正常である一方,内部の葉緑体が非対称に分裂し,大きさの異なる娘葉緑体が作られることを見出した。

この結果は,CurT/CURT1 タンパク質が,シアノバクテリアでは細胞全体の分裂,緑藻では葉緑体の分裂という,それぞれの生物における分裂現象の質を保証する共通の役割を担っていることを示している。

研究グループは,農作物や微細藻類の細胞分裂や葉緑体分裂を最適化し、光合成能力を向上させることで、食料増産やバイオマスエネルギー生産の効率化に繋がる革新的な技術開発への道を開くものと期待される。

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