東京大学の研究グループは,ダイズで光合成産物が複数の独立した経路を通ってシンク(成長中の器官)へ届くことを明らかにした(ニュースリリース)。
植物は,光合成で生産した糖(主にスクロース)を師管でソース(光合成を行なう成熟葉)からシンク(若い葉・根・果実など)へ運ぶ。しかし,どのソースがどのシンクに,茎内のどの経路を通って運ぶのかは未解明の部分が多く残されていた。
研究グループは,ダイズをモデルに,輸送経路の空間的な使い分けを検証した。異なる位置にある葉からの光合成産物がそれぞれ異なる経路を通って移動することが可視化された。葉から茎に合流する際に輸送経路が分割され,茎内の異なる区画を通じて複数の経路で輸送されることが分かった。
複数の経路を使用することで,もし一部の経路が障害やダメージによって塞がれても,他の経路を通じて栄養素が供給されるため,植物の適応力や耐障害性の向上にも寄与していると考えられる。さらに,異なる位置にある葉と交互に分割された輸送経路を使用しており,どちらの葉からも同じシンクへと栄養素が輸送されることが明らかになった。
また,単一の葉内でも,左右で異なる輸送経路が使われていることが確認され,葉内での機能的な分割が行なわれていることが示された。これにより,植物が効率的に成長するために,細かく区画化された栄養素の輸送の仕組みが明らかになった。これらの知見をまとめ,従来の同側支配モデルに対し,左右いずれのソースからも同一シンクへ到達可能な新モデルを提示した。
研究グループは,この研究の知見は,他の作物や異なる植物種にも適用可能なモデルの構築,農業における作物の生産性向上に寄与することが期待されるとしている。




