OKIは,同社独自技術であるCFB(Crystal Film Bonding)技術を用いたタイリングCFB技術を開発した(ニュースリリース)。
近年,AIの急速な発展によりデータセンター需要が拡大し,処理能力拡大と消費電力増大抑制の両立が深刻な社会課題となっている。こうした課題の解決策として,電子回路と光回路を融合した光電融合技術による高性能・低消費電力化が注目されている。特に,シリコンウエハーへの光半導体の異種材料集積は,シリコンフォトニクスと光半導体の融合を可能にし,さらなる性能向上が期待されている。
一方,異種材料集積にはさまざまな技術的な課題もある。また,シリコン光導波路はナノスケールの粗さ制御が必要なため,ダメージを与えない異種材料集積プロセスが求められている。
同社が開発したタイリングCFB技術は,異なるウエハーサイズ間のギャップを克服し,ダメージなく異種材料集積を実現するもの。この技術は,2インチInPウエハー1枚から300mmシリコンウエハー全面に52回のタイリングが可能であり,InP系結晶薄膜材料を効率的に活用できる。
転写後のInPウエハーはそのまま再利用できるため,リサイクルやリユースも可能で,環境負荷の低減にも貢献する。また,位置精度は±約1µmで,角度精度は±約0.005°。この精度により,同社独自のシリコンフォトニクス技術,立体交差導波路と組み合わせることで,光半導体とシリコン導波路間の高効率な光結合を実現できる。
実証実験では,2インチInPウエハー上に犠牲層および光半導体として機能するInP系結晶薄膜をエピタキシャル成長させ,素子ごとに分離した。各素子には,犠牲層エッチング時の薬液浸食から保護するための保護構造と,一括転写用の支持体を形成した。
これにより,InP系結晶薄膜素子は浸食なく中間転写基板へ一括転写ができた。また,中間転写基板の独自構造により,保護構造および支持体の除去プロセス時にInP系結晶薄膜素子が剥がれず接合状態を維持し,転写時にはInP系結晶薄膜素子を容易に転写することが可能となっている。
さらに,中間転写基板からCFBスタンプを用いて繰り返し転写を行なうことで,300mmシリコンウエハー全面へのタイリングCFB技術を実現した。
また,中間転写基板上に高密度ピッチで配置された素子アレイから,デバイスに必要な低密度ピッチの素子アレイを繰り返し転写できるため,材料を無駄なく活用できる。今回使用したCFBスタンプのサイズは30mm×30mmで,300mmシリコンウエハー全面への転写回数は52回,所要時間は約10分と,実用的な生産性を有している。




