神大ら,光触媒の性能を予測できる機械学習を開発

神戸大学と奈良先端科学技術大学院大学は,太陽光と水からCO2フリー水素を製造できる光触媒の性能を,少数データから予測できる機械学習モデルを開発した(ニュースリリース)。

太陽光と水からCO2フリー水素を製造できる光触媒は,環境負荷の低減と持続可能な社会の実現に貢献する材料として大きな注目を集めている。一方,光触媒を用いた太陽光水素製造システムの実現には,太陽光エネルギー変換効率のさらなる向上が求められている。

そのための有効な手法の一つとして,他元素のドーピングが挙げられる。しかし,どの元素をどの程度,どのような組み合わせでドーピングすればよいのかについては,明確な指針が確立されておらず,膨大な数の実験が必要とされている。

近年では,マテリアルズ・インフォマティクス(MI)を活用した効率的な材料探索により,従来性能を大幅に向上させることが可能となってきており,情報科学的手法を活用した材料開発や材料理解への関心が高まっている。

研究グループは,39種類の元素の中から複数種を選んでドープしたヘマタイト光触媒を,ソルボサーマル法によって合成し,導電性ガラス基板上に集積・焼成することで,計97種類の光触媒電極を作製した。

1.6Vの電圧印加時の光電流密度を目的変数,サンプルの組成情報から作成した元素特徴量や各種分析データを説明変数として,二段階のLASSO回帰による光電流密度の予測を行なった。LASSO回帰を二段階にすることで,モデルの予測精度が最大化する説明変数を選択でき,過学習や学習不足による予測精度の低下を抑えることができる。

今回の研究で使用したデータセットは,光電流密度が0.04~1.06mAcm−2と広範囲にわたる一方で,データ数は100以下と少数だったが,二段階LASSO回帰を適用することで,決定係数が0.76という良好な予測精度が得られた。

また,入力に用いた元素特徴量は177個だったが,最終的に選択された特徴量は16 個に絞られ,約10分の1にまで厳選された。これにより,化学的観点からの考察が十分に可能なレベルまで特徴量を減らすことができた。

モデル構築に用いていないハフニウム(Hf)を含むサンプルの光電流密度を外挿的に予測したところ,実測値と良好な一致を示し,この手法が高性能材料の探索に極めて有用であることが実証された。

研究グループは,これらの成果により,太陽光水素製造システムに関連する光触媒電極の重要な特徴を明らかにするとともに,最適なドーパントの組み合わせや濃度の探索に要する膨大な試行時間を大幅に短縮できるとしている。

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