大日本印刷株式会社(DNP)は,見る方向・視点によって表示が変わる「DNP表示切替ホログラムマット」を開発し,2025年5月9日に発売すると発表した(ニュースリリース)。
商業施設や観光施設などでは,来場者に視覚的なインパクトを与える情報通知ツールのニーズが高まっている。特に,目的地までの誘導案内やメッセージなどを床面に表示するフロアサインは,視線の低い子供や車椅子の利用者から,背の高い人まで,多様な人々に情報を伝えられる。こうした視覚的なインパクトが大きい一方で,従来のフロアサインの多くは,施設ごとに統一された空間デザインの中で違和感を生じさせやすいという課題があった。
これらの課題やニーズに対して同社は今回,セキュリティ用途が多かったリップマンホログラムを活用することで,見る方向・視点で異なる文字や絵柄を表示できる新製品を開発した。
この製品は,緑色に光るホログラムで表示する文字や絵柄が,見る方向によって変わる。商業施設や観光施設など,人々が往来する場所に設置した場合は,行きと帰りで異なる情報を伝えられるという。
また,フロアマットから1~2mの距離に人が近づいた際に,文字や絵柄が光って表示される。フロアマットの近くにいる人しかホログラムを見られないため,設置場所全体の空間デザインを損なわない。また,文字や絵柄が突然出現するという驚きのある視覚体験を提供できるとしている。
さらに,さまざまな素材の凹凸感を平面上に再現する「DNP 2.5D表現技術 リアルサーフェス」を活用し,本物のカーペットのような立体感があるデザイン上で文字や絵柄を表現する。さまざまな空間に合わせてデザインをカスタマイズすることで,設置場所になじむフロアマットが提供できるという。
同社は,ウィンドウディスプレーのガラス装飾用シートなどの多様な用途にこの技術を展開して,空間デザインと組み合わせた新しい演出や体験価値を提供していくとしている。