アマダは4月17日,ビアメカニクスの全株式を取得する株式譲渡契約を締結し,完全子会社とすると発表した(ニュースリリース)。
同社は半導体はスマートデバイス製品の小型化,高機能化,データセンター向けの需要急増にの要求に応えるため,同社が保有する技術や,それを活用したM&Aによる事業拡大について模索してきた。
ビアメカニクスは基板穴あけ加工機の世界的リーディングカンパニーで,1968年に日立製作所の工作機部門が分離,独立。その後,事業の選択と集中を進め,ハイエンド基板穴あけ加工機メーカーへと成長してきた。
ハイエンド基板は高性能半導体を搭載する基板で,近年のスマートデバイスや生成AI向けの半導体などで採用されている。これらのハイエンド基板は回路を微細化するために導通穴の増加と小径化,基板の多層化,材料の多様化など,大容量の情報を高速かつ低消費電力で処理するために最先端の技術が求められている。
ビアメカニクスは,基板への貫通穴加工には,超高速スピンドルと高速高精度テーブルサーボ技術を搭載したドリル穴あけ機,基板積層工程の止まり穴加工には,高速高精度ガルバノ技術を搭載したレーザー穴あけ機(CO2レーザー加工機,UVレーザー加工機)をハイエンド基板向けに提供している。
今回,アマダは同社が保有するレーザー技術などのコア技術,自動化装置,フレキシブルなグローバル生産供給体制,およびIoTによるサービスサポート体制と,ビアメカニクスが保有するレーザーによる穴あけ加工技術や,製造装置を高速,高精度化する技術の親和性が高いと考えている。
また,ビアメカニクスの顧客には,アマダの微細溶接事業のレーザー加工システムによるウエハーへのマーキングや樹脂モールドのバリ取りなど,半導体製造の後工程装置向けの提案により,高いシナジーが見込めるとする。
これらの理由から,両社の融合により半導体産業においてより一層の市場拡大が狙えること,また新たなレーザー加工技術を共創し,差別化商品を開発,投入することで,顧客の技術進化ニーズに応えることが可能になると判断した。
アマダは,同日付けでアドバンテッジパートナーズがサービスを提供するファンドとの間で,同社が保有するビアメカニクスの発行済株式を全て取得する株式譲渡契約を締結。取得価格は510億円。株式譲渡は2025年7月を予定しており,ビアメカニクスは手続き完了後も主要商品の製造,販売,サービスを顧客に提供する。また,ビアメカニクスの事業執行体制は継続するとしている。
ビアメカニクスの概要は以下の通り。
資本金: 301 百万円 売上高: 43,292 百万円 (2024年3月期) ※ 連結ベース
従業員: 562名 (2024年3月期) ※ 連結ベース