独メルク,仏半導体測定機器企業を買収し光部門強化

医薬・化学品メーカーの独Merck(メルク)は,半導体計測機器の仏Unity-SCの買収を通してポートフォリオを拡充,光学技術を活用してエレクトロニクス・ビジネスの半導体業界向けソリューションの戦略的重点分野の強化を図ると発表した(ニュースリリース)。

この買収は,同社の光学に関する専門知識の補完強化の重要なステップだとする。ディスプレーソリューション部門は,2025年よりオプトロニクスの名称で事業展開し,光技術を活用した電子デバイスやシステムの再構築に注力することで,ディスプレー市場中心からエレクトロニクス向けの最先端光学技術へ事業拡大し,さらに幅広い分野を扱う部門となるという。

液晶ディスプレー(LCD)や有機EL(OLED)ディスプレーの研究を通じて光学物理学や材料に関する深い専門知識を培ってきた同社のエレクトロニクス・ビジネスは,次世代技術の需要に対応するため,光学と半導体技術の融合を推進していくとしている。

光学材料システムから半導体デバイスに至るまで,高度な知識と専門性をもつ同社は,オプトロニクス部門を通して光学技術の新分野を開拓することで,光通信技術の活用で初めて可能となるチップ上での高速データ伝送の次世代コンピューティング技術の実現を目指している。

先進的な液晶(LC)およびOLED材料の開発は引き続きポートフォリオの中核である一方,今後高い需要が見込まれるアドバンスト・リアリティ(拡張現実/仮想現実/複合現実)におけるオプトエレクトロニクス・ソリューションにより,さらなるポートフォリオ強化を図るという。

同社は,オプトロニクスおよび半導体分野の専門知識と最先端の計測技術の融合を通して,エレクトロニクス技術の発展に不可欠かつ重要な課題に対応するユニークなシナジーを創出していくとしている。

Unity-SCは,人工知能(AI),ハイ・パフォーマンス・コンピューティング(HPC),広帯域幅メモリ(HBM)に関連するアプリケーションで使用されるヘテロジニアスインテグレーションのチップシステムの品質,歩留まり,製造コストを改善するための計測・検査ソリューションのメーカー。

高精度な計測・検査装置により,AIデータセンター,自動運転,スマートフォンなどの電子機器など,非常に高度な要件が求められる応用分野向けの高性能チップの製造が実現するという。

この買収は,規制当局の認可および,その他の一般的な買収条件の履行を受けて完了した。フランス,グルノーブル近郊のモンボノ・サン・マルタンに拠点を置くUnity-SCは,約160名の従業員を擁し,うち70名が研究開発に従事している。

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