2035年自動運転市場,23年比146倍の3兆8,891億円

富士キメラ総研は,「電子制御・電動化」「自動・統合制御」「オンデマンド・デジタル化」によるアプローチが進む車載電装システムの世界市場を調査し,その結果を「車載電装デバイス&コンポーネンツ総調査 2025 上巻:システム/デバイス編」にまとめた(ニュースリリース)。

ADAS/自動運転システムは,センシングカメラやレーダーセンサー,LIDARなど各種センシング機器を使用したシステム。ADASは,自動運転レベル1および2に相当する緊急自動ブレーキや定速追従走行システムなどがあげられる。また,自動運転システムは,レベル3以上の条件付き自動運転から完全自動運転のシステムとした。なお,LIDARとHDマップを搭載した車両はレベル3とし,自動運転システムに含めている。

調査によると,2024年のADAS市場は,前年比9.0%増,2兆5,687億円の見込み。緊急自動ブレーキの搭載率がいずれの国・地域でも高いことから,搭載数がほとんどの国・地域で自動車生産台数に近い規模となっている。特に,乗用車と小型商用車の搭載率が高い。一方,新興国で生産される大型商用車の搭載率は低いという。

レベル3の普及には車両性能以上に法規制やインフラ整備,事故時の責任所在,保険の適用などが高いハードルとなっていることから,自動車メーカー各社はレベル2の高機能化を進めている。高機能化では搭載される各種センサーの数量増加で単価が上昇することから,2030年にかけて市場は高成長するとみている。2030年以降はレベル3以上にシフトするとみていることから,市場は縮小推移を予想する。

2024年の自動運転システム市場は,前年比2.4倍,628億円を見込む。現状,まだ市場規模は小さいが,中国ではADASや自動運転システムの搭載が消費者への訴求ポイントになっており,新興EVメーカーの高級車でLIDARとHDマップを搭載するレベル3が増加しているという。

日本や欧州でもLIDARとHDマップの搭載が始まっているものの,高級車のみでまだ少ない。高いハードルがクリアされるのには時間を要するが,徐々に市場は拡大し,2030年以降さらに高い成長率を期待する。

統合コックピットシステムは,コックピットドメインコントローラー(CDC)と表示装置で構成されるシステム。CDCは,メーター(車速やガソリンの残量など),センターインフォメーションディスプレー,ヘッドアップディスプレー,さらにはADASやドライバーモニタリングシステムなどの情報を統合的に制御する。

統合コックピットシステムは,従来のサプライチェーンとは異なるため,新たなサプライチェーンを受け入れやすいEVでの搭載が中心となり,EVの販売台数が多い中国や欧州で需要が比較的多く,今後もこれら国・地域が市場をけん引していくとみている。

日本ではEVの販売台数が少ないこともあり需要は限定されているが,2026年以降の次世代E/Eアーキテクチャーの採用により市場が立ち上がるとみる。欧州では主に高級車やドメイン型E/Eアーキテクチャー採用車に搭載されているという。

今後,ドメイン型やドメインとゾーンのハイブリッド型アーキテクチャー採用車が増加することから,大幅に市場拡大するとみている。北米ではTeslaなどのEVメーカーを中心に市場が形成されている。中国では参入する多くのソフトウェアメーカーやカーナビメーカーが今後も製品競争力を高めながらEVをターゲットに販売を強化していくとみる。

その他の国・地域では当面は韓国のHyundai/Kia向けが中心となるが,インドでも市場が形成され,2030年以降には東南アジアなどでも形成されていくと予想している。

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