東大ら, 次世代ARメガネ向けの薄型受光系を開発

東京大学,大阪大学,クラスターメタバース研究所,英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンは,次世代AR表示技術「Beaming Display(BD)」方式対応の薄型受光系を開発した(ニュースリリース)。

現在普及が進むメガネ型ARデバイスは,表示素子や計算ユニット,バッテリーを全て本体に内蔵するため,装着感や性能向上に限界がある。一方,「Beaming Display(BD)」方式(投影・受光部分離型)のARメガネは,プロジェクター技術を応用し,計算処理や投影装置を環境側に分散しメガネに映像を投影することで,電源を不要とし軽量化を目指している。

しかし,従来のBD方式向けの薄い受光系では,投影光を受け取れる頭部角度に制限(5度程度)があり,装着者が頭部位置・向きを正確に合わせる必要があった。そこで,研究ではこれらの課題を解決する新しい受光系を開発した。

新しく設計した受光系では,様々な角度から光を受光できる仕組みである,回折光学系ウェーブガイドを組み込むことにより,約20~30度の広い角度許容性を実現し,薄く軽量型のまま,頭部動作の自由度を向上した。

この技術は,エンターテインメント,教育,製造業,医療など幅広い分野での応用が期待される。特に,長時間装着が必要な作業において,利便性と性能が発揮されると考えられるという。

研究グループは,さらなる装着性の向上や頭部位置追跡機能の統合を目指して研究を継続する。これにより,次世代ARデバイスとしての実用性がさらに高まり,多くの産業分野で新たな価値を創出できると期待されるとしている。

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