公大ら,光阻害の修復速度と気温との相関を明らかに

大阪公立大学,東北大学,オーストラリア国立大学は,強い光エネルギーにより光合成タンパク質が損傷する光阻害からの修復速度が,生育地の気温が異なる植物間で違いがあるかを検証し,生息地の気温が低いシロイヌナズナほど,低温での修復速度が速いことを明らかにした(ニュースリリース)。

光は光合成の駆動力だが,強すぎる光は光合成器官に傷害をもたらし,光阻害と呼ばれる,光合成活性や成長速度の低下を引き起こす。ほとんどの植物は,この光阻害にさらされているため,植物がどのように光阻害を回避しているかの研究が世界各地で盛んに行なわれている。

これまでに,葉緑体が移動して光の吸収を抑えたり,過剰な光エネルギーを熱として放散したり,壊れた光合成器官を修復しているなど,多くの回避機構を持つことが明らかになってきた。植物がこれだけ多くの光阻害回避機構を進化させてきたことは,光阻害耐性に強い淘汰圧がかかってきたことを示唆しており,将来的に植物の光阻害による成長低下を抑える方法を研究するためにも,どのような植物が高い光阻害耐性を持つかを知ることが重要となっている。

これまでの研究で,明るいところを好む陽生植物は,暗いところを好む陰生植物よりも光阻害耐性が高いことが知られていたが,今回の研究では壊れた光合成器官の修復速度が低温で強く低下することに注目し,低温由来の植物ほど低温での光阻害修復能力が高いのではないかと考えた。

研究グループは,世界各地の気温が異なる場所で集められているシロイヌナズナの種子を,同じ環境で発芽・生育した後,低温での光阻害修復速度を調べた。光阻害修復速度は,葉のクロロフィルが吸収した光エネルギーのうち,光合成に使われなかった一部から生じる赤色の蛍光を測定することで,調べることができる。

22℃で生育した植物を,低温(5℃)状態に置いた際の光阻害修復速度を測定したところ,予想に反して,低温での光阻害修復速度は低温由来のものほど速いという傾向は見られなかった。しかし,22℃で生育した植物を12℃で3日間順化させると,予想していた通り低温(5℃)に置いた際の光阻害修復速度は上昇し,その上昇の幅は低温由来の植物ほど大きいことが分かった。

これは,低温に生育する植物では,低温での光阻害の修復速度を上げるよう適応する必要があったものの,植物は暖かい季節の間は,低温での光阻害の修復能力を高めず,コストを省いているからだと考えられるという。

研究グループは,この成果は,光阻害の修復能力がどのように順化して上昇するのか,また修復能力の温度依存性がどのように決まっているのかについての研究促進に繋がると期待されるとしている。

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