東大ら,新たなマルチカラーX線CT撮像を確立

東京大学,東北大学,ダイヤトレンド,伊ブルーノ・ケスラー財団は,新しいタイプのマルチカラーX線CTの技術を確立した(ニュースリリース)。

撮像の低被ばく化や画像の高精細化が期待されているこれまでのマルチカラーフォトンカウンティングCT用の検出器にはCZT(テルル化亜鉛カドミウム)やCdTe(テルル化カドミウム)などの化合物半導体が利用されてきた。

しかし化合物半導体は材料の選択肢が少なく,密度が5.85g/cm3程度であり,高エネルギーX線には向かない,電荷広がりのためにエネルギー情報を最大限活用できないなどの問題点があった。

またこれらを解決するためシンチレータ+光センサ型の方式(間接変換型)も検討されてきたが,技術的な限界から画素サイズが1mm程度と実用的な臨床で用いられる物よりも大きい,エネルギー分解能が十分でないという問題があった。

今回,研究グループは,東北大学で開発した高い発光量をもつGAGG(Gadolinium Aluminum Gallium Garnet)/GFAG(Gadolinium Fine Aluminum Gallate)シンチレータの微細ピクセルアレイ化およびブルーノ・ケスラー財団で新たに開発した高い光子感度を有するSiPMアレイの微細ピクセル化と高度な接合に成功し,ダイヤトレンドの協力によりシステム化することで,世界で初めて実用的な250µm画素サイズでカラー撮像を可能とする良好なエネルギー分解能を実証し,マルチカラーフォトンカウンティングCTへの応用が可能であることを示した。

また,空間分解能も2.9LP/mm@MTF(modulation transfer function)10%程度と高い分解能を実現可能なことが確認された。

研究グループは,この研究成果により,今後,単純撮像や造影剤撮像におけるX線CTの低被ばく化や,生体内の物質識別能力をもった診断技術の実現といった社会への波及効果が期待されるとしている。

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