浜ホト,レーザー核融合向け世界最高輝度のLDを開発

浜松ホトニクスは,同社従来品と比べ輝度が約4倍の23kW/cm2と,レーザー核融合向けとしては世界最高輝度となる励起用LDモジュールの開発に成功した(ニュースリリース)。

核融合とは原子核同士が融合する反応のことで,融合する際に大きなエネルギーが発生する。レーザー核融合とは,重水素と三重水素を入れた燃料カプセルに高出力のレーザーを照射し核融合を起こす技術で,カーボンニュートラルの次世代エネルギーとして世界中でレーザー核融合発電の実現への期待が高まっている。

世界の主要なレーザー核融合施設では,フラッシュランプ励起の大型のレーザー装置により,入力エネルギーに対し出力エネルギーを10~100倍程度に大きくする高利得達成に向けた大規模な実証実験が行なわれているが,レーザー媒質を冷やす時間が必要なため1日数回のレーザー照射に限られている。

レーザー核融合発電の実用化には高繰り返しで核融合反応を起こし,連続的にエネルギーを取り出す必要があると考えられており,同社は,高繰り返し動作が可能で高出力の励起用LDモジュールの開発に取り組んできた。

レーザー核融合に用いられる大出力レーザー装置において,効率よく高い光出力エネルギーを得るには,レーザー媒質を高輝度のレーザ光で励起することが重要。この励起に用いるレーザー光を発生させるLDモジュールの出力を高めるには,幅1cmと小型で高出力のLDバーを高密度で積層する必要があるが,これまではLDバーに供給する電流のリークやLDバーの冷却の安定性に課題があった。

同社は,組立治具や高融点はんだの接合技術,ヒートシンクの構造などを工夫することで,独自のLDバーの高密度実装技術を確立した。この結果,電流のリークを抑えるとともに冷却効率を高め,同社従来品と比べ輝度が約4倍の23kW/cm2と,レーザー核融合向けでは世界最高輝度となるLDモジュールの開発に成功した。

レーザー核融合向けレーザー装置の励起用光源としてこの開発品を用いることで,レーザー核融合の実用化の重要なマイルストーンとされる1kJ級レーザーの実現が期待でき,2030年代に発電実証が期待されているフュージョンエネルギー(核融合エネルギー)の実現に向けた研究開発に大きく貢献できると期待できるという。

また,この開発で確立したLDモジュール製造技術は,宇宙デブリ除去のための大出力レーザーの励起用LDモジュールや,半導体微細加工用の極端紫外光源のレーザーに求められる励起用LDモジュールなどへの応用も見込まれるとしている。この開発品は,3年後の製品化を目指すという。

■主な仕様は以下の通り。

項目開発品単位
輝度23kW/cm2
ピーク光出力32kW
波長940nm
繰り返し周波数10Hz
パルス幅~0.3ms
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