筑波大,超高光度降着円盤の歳差運動を実証

筑波大学の研究グループは,ブラックホール周囲のガスの渦巻きである超高光度降着円盤が,ブラックホールの自転によって歳差運動することを,一般相対性理論に基づく大規模数値シミュレーションで実証した(ニュースリリース)。

ブラックホールの周りには,その強大な重力に捉えられたガスが渦を巻いて回転する降着円盤が形成される。この降着円盤は,宇宙で最も効率的なエネルギー変換機構の一つであり,ブラックホール周辺で起こる光の放射やジェットの発生源と考えられている。

ブラックホールが自転していると仮定すると,降着円盤は,回転するコマの軸がぐらつくような歳差運動を起こし,その結果,放射やジェットの時間変動が引き起こされる可能性がある。もしこれが検証されれば,ブラックホールが自転していることの強力な証拠となる。

近年,光度が低い降着円盤の歳差運動については,M87銀河中心部のブラックホールの観測などで実証が進んでいるが,超高輝度X線源に存在すると考えられる超高光度降着円盤のように,極めて光度の高い降着円盤においても同様の現象が見られるかどうかは,解明されていなかった。

研究グループは,物質が,ブラックホール周囲の歪んだ時空の中でどのように運動するかを,放射の伝搬や電磁場の変動と同時に解析する,天文学における最先端の数値シミュレーション技術として,一般相対論的放射電磁流体力学シミュレーションを長年にわたって開発してきた。

この手法は,従来法とは異なり,放射の影響を考慮することで,非常に明るい円盤の挙動が解析できる。そこで今回,これを用いて超高光度降着円盤の挙動について解析を行なった。

研究グループは,特に光度の高い超高光度降着円盤が,ブラックホールの自転によって歳差運動を起こすかどうかを解明するため,大規模な一般相対論的放射電磁流体力学シミュレーションを実施した。その結果,従来の低光度の降着円盤だけでなく,超高光度円盤も歳差運動をすることを世界で初めて実証した。

さらに,この歳差運動により,強力な放射やジェットの噴出方向も,ブラックホールの自転軸の周りを回るように変化することが明らかになった。この現象により,一部の超高輝度X線源で見られる1秒未満から数秒の周期的な光度の変化が説明可能であることから,超高輝度X線源のブラックホールが自転している可能性を強く示唆している。

研究グループは,今後,ブラックホールの自転の有無を検証することで,これが宇宙現象に与える影響が解明されると期待され,ブラックホールの時空構造や一般相対性理論のさらなる理解にも貢献すると考えられるとしている。

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